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2006年7月16日 (日)

減速機付きモーター事件(意26条)

ちょっと長くなるけど、引用。

 

平成14(ワ)5556 民事訴訟 意匠権 平成15年1月1日 (東京地裁)

ポイント

(1)本件登録意匠に係る物品と被告製品の物品とを対比すると,本件登録意匠に係る物品は減速機であるのに対し,被告製品は,減速機部分にモーター部分を連結して一個の物品となした減速機付きモーター(ギヤードモーター)であるから,両者は物品が異なり,被告製品の意匠は本件登録意匠と同一又は類似であるということはできない。
 また,原告が主張するように,利用関係による意匠権の侵害が認められるとしても,前記認定に係る本件登録意匠の要部は,前記3認定の事実からすると,被告製品の意匠においては,外部から認識できないから,このような場合には,利用関係が存すると認めることはできず,したがって,利用関係による意匠権の侵害も認められない

(2)この点,原告は,本件登録意匠との類否判断の対象となるべき製品は,被告製品の減速機部分であると主張するが,前記認定のとおり,減速機部分は,ねじでモーター部分と固定されており,減速機部分は減速機付きモーターの一構成部分にすぎないというべきであるから,被告製品の減速機部分のみを切り離して本件登録意匠との類否判断の対象とすることはできないというべきである(もっとも,利用関係の判断に当たっては,減速機部分のみを類否判断の対象にすることがあり得るが,利用関係も成立しないことは前述のとおりである。)

 また,原告は,意匠法は意匠の持つ「形態価値」を保護するものであり,「形態価値」を保護するためには保護されるべき意匠が物品の流通過程で見えるかどうかは問題ではなく,モーターと減速機を結合させる「組み立て場面」と,減速機付きモーターとして「使用される場面」に注目しなければならないと主張するが,意匠法において意匠とは,物品の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美観を起こさせるものをいい(意匠法2条1項),また,意匠保護の根拠は,流通過程における混同防止にあると解されるから,意匠法の保護の対象となるのはあくまで物品の外観であって,外観に現れず,視覚を通じて認識することがない物品の隠れた形状は,意匠権侵害の判断に当たっては考慮することはできないというべきであり,この点は,利用関係の判断に当たっても変わらないというべきである。原告が主張するように,モーターと減速機を結合させる「組み立て場面」や,減速機付きモーターとして「使用される場面」に注目したとしても,減速機付きモーターにおいて登録意匠の要部が外観に現れなければ,意匠権侵害といえないことは,前述のとおりであって,これらに注目したところで結論が変わるものではない。

 

ようするに、

(1)で、判決における趣旨は判示されているも、(2)においてさらに、原告の主張をさらに否定するために判決理由を補強している。 

 登録意匠に係る物品が「減速機」であり、イ号製品の物品は「減速機付きモーター」であるから、物品が非類似であり、意匠も非類似である。

 「減速機付きモーター」は、形式上「減速機」を利用するものであるが、イ号製品において、減速機の意匠を視認できないから、利用関係による意匠権の侵害もない。

 意匠法の趣旨は、流通過程における混同防止にあるので、意匠法の保護対象はあくまで物品の外観となる。 視覚を通じて認識できない部分は、意匠権の侵害においては考慮されない。

 

 となると、本試験においても、いきなり、意匠の真髄は、物品の美的外観にあるから、視覚を通じて認識できない部分は、意匠権の侵害において考慮されないとだけ書いたのは、心証悪くね?って感じ。

まずは、

 甲の輸入・販売する「冷蔵庫」は、乙の登録意匠に係る物品の「熱交換器」と、物品の機能・用途が異なるので、物品は非類似であり、両意匠は非類似である。 よって、冷蔵庫を輸入・販売する甲の行為は、乙の意匠権の侵害を構成しない(23条)。 しかしながら、登録意匠に係る「熱交換器」の意匠ニと同一形状の熱交換器αを冷蔵庫βは内蔵していることから、冷蔵庫βは、意匠ニ(熱交換器α)をそっくりそのまま取り込んでおり、利用関係が成立する(26条)。 したがって、冷蔵庫βを実施する行為は、形式的には、乙の意匠権の侵害を構成する(23条、26条)。 

 しかしながら、冷蔵庫においてαは外部から見えないように内臓されていることから、αを外部から見れない以上、意匠権の侵害を構成しない解するのが相当である。 なぜならば、意匠とは、物品の美的外観をいい(2条1項)、視覚を通じて視認することができない意匠の形状は、意匠を構成するものとはいえず、意匠権の侵害において考慮すべきでないと解されるからである。

 

本番で、ここまでは書けんは!!

 

 今まで知らなかったけど、というか、減速機付きモーター事件って利用関係の判例だと思っていたんだけど、読んでみると、論点は、視認性の問題じゃね?って思える。

 利用関係の判例って結局のところ、学習机しかないのかしらん。

 

 利用関係については、何等本判決では、述べておらず、唯一、「原告が主張するように,利用関係による意匠権の侵害が認められるとしても」だけなのよねん。 原告も、特に利用とは!とかいってるわけじゃないし・・・

 唯一、被告が、

 意匠の利用関係ないし包含関係が成立するためには,意匠中に他人の登録意匠の全部がその特徴を破壊することなく,他の部分と区別しうる態様において存在することを要し,もしこれが混然一体となって彼此区別し得ないときは利用関係の成立は否定されるというべきところ

って、主張しているけど、これって、完全に、学習机事件だよね。

 

 裁判では、弁論主義が採用されているから、取り敢えず、主張1と主張2の理論構成が破綻しようが何しようが、思いつくかぎりの主張なり、抗弁はしなくちゃいかんのねぇ~って実感。 下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦が、本試でも必要とされているテクなのね。 裁判とは、究極エゴとエゴのぶつかり合いで、ごねたもん勝ちみたいなところがありそうであ~る。 とすると、実社会と違うのは、裁判官が法に基づいて、ちょっとだけお墨付きを与えてくれるってとこと、お金を適法にせびり取れるってことかしらん。

 

本日のキーワード: 利用は、学習机事件だな。

 

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