模倣社会
模倣社会 忍び寄る模倣品犯罪の恐怖
パット・チョート著、 橋本 硯也訳 税務経理協会
訳者は知財を知らないなと分かる訳多し。 訳語から英語が想定できるところが、素人感丸出し。 知財関係の監修は入れてないのかな?? 知財に関しワシントン大統領の時代から語られていて、古い話なのに臨場感に溢れていて前半部は非常に興味深く読める。 筆者は、ペロー氏の副大統領候補だったみたいで、御多分にもれず、最後には書きたかったであろうことがドロリと顔を現し、如何に米国知財が簒奪されているか、国家が知財保護に関し如何に機能してないかの、批判的な方向からのアメリカ万歳物語。 米国の議員立法については、ロビイストも出てきて、どっちがどっち側何だか良く分からんくなって、何だかよく分からん。 読み物としては、全般に臨場感にあふれていて面白い本であります。
本から知ったこと。
GEってエジソンの会社が始まりなのね。 それにしても、エジソンの知財の話は非常におもしろい。 前半部分の山である。
知財の歴史って、どこも変わってなくって、結局、簒奪を国家が法で保護して、自分とこの産業が他人を排除するレベルに達したら、他国の法体系に対して文句をいうってことなのよね。 アメリカはイギリスから盗み、日本はアメリカから盗み、中国は日本から盗むという、歴史は繰り返すとは当にこのこと。 次は、インドが中国から盗むのだろうか・・・ そーいえば、年齢が分かってしまうが、昔、GATTウルグアイラウンドととかって結構揉めてたもんね。 また、日本だって一寸前まで、物質特許を認めていなかったんだよね。 いやはや。。。
152頁 「2003年8月に貧しい国の加盟国はその加盟国国内の医薬品製造業者にライセンスを供与するように医薬品関連の特許保有者に対して強制することができる協定をWTOは認めたのである。」
いわゆる医薬品アクセスの問題である。 最近、タイ政府が強制実施を発動したニュースが流れた。 もともと、ブラジルが国家をあげてじゃばじゃば作っているのは有名である。 深夜番組だったが、TVでも取り上げられていたのを覚えている。 日本弁理士会のHPの日本弁理士会知財ビジネスアカデミーの2006年度 前期研究ゼミ『国際知財ゼミ』研究資料の中に、医薬品アクセスの問題が取り上げられていたりするので、自分なりに考察してみたいと思っている部分である。 医薬品アクセスといえば、AIDSやマラリアの薬が良く問題になるが、欧米製薬メーカーがアフリカなどでもきっちりと特許権を押さえていることが驚きである。 日本製薬メーカーも、アフリカ等できっちりと権利化しているのかしらね。
156頁 「アメリカ通商代表部(USTR)は「スペシャル301条報告」(アメリカ通商法スペシャル301条=他国による知的財産侵害に対する法律、に基づく報告書)を毎年発表している。」 「侵害の程度が最も悪質な優先国に日本は侵害国であるにも関わらず、政治的理由で除外されているそうである(適当に抜粋した。)。」
日本が侵害国であるといわれてもあまりピンとこない。 未だに、盗みたおしているのだろうか? 損害賠償すれば済むということではないという意味かな。 確かに、日本企業は、多額な使用料というか、和解金を支払ったというニュースを耳にするからな。
175頁 教科書の海賊本の話が出ているが、確かに、海賊版業者というのはいたね。 アマゾンが日本にも入ってきて、海外の教科書を容易に買えるようになったのと時を同じくして、取り締まられただのの噂とともに買えなくなったなぁ。 化学者なら一度といわず何度もお世話になったはずのProtective Groups in Organic Synthesisやら、ゼミ等で勉強する際に使ったAdvanced Organic Chemistry Bやらは海賊本を持っているのが普通だったよね。 先輩が卒業する毎に代々譲り受けたりしてね。 この本によれば、現在はデジタルで海賊本作るから、見分けがつかないんだそうだ(アメリカでの話しだろうが・・・)。 昔の海賊本は一種独特の表紙紙が使われていたから、その点は愛嬌があったともいえる。
178頁 「インドは’’バイオパイラシー(生物資源の略奪行為)’’に対して特に神経を尖らせている。」
医薬品アクセスと並んで、WTOでの南北問題として生物資源問題はよく問題になるね。 MRSAの特効薬であるバンコマイシンは、そもそもインドネシアの土壌サンプルだったかな?から、Eli Lilyの研究者が産生菌株を見つけだして、誘導体化して得られたんじゃなかったかな?? アマゾンの奥地には製薬会社の植物ハンターだかが、現住民族の民間療法から活性種を見つけ出してるなんて話もよくきくものね。 まぁ、アスピリンだって柳の皮から見いだされたもんだしね。 生物多様性条約だな。
258頁 「特許洪水」
「その方法は、通産省管轄の日本の特許庁に外国から出願があると、競争相手である日本の企業がその外国からの特許に密接に関連する特許を、すぐさま何十件、時には何百件という単位で、その同じ特許庁に出願し審査を妨げるのである。」
一応日本も先願主義を採用していると思うので、審査が妨げられることはないかと思うが・・・ 上述の日本が侵害国である1つの戦略として位置づけられると考えられる。 日本の米国特許簒奪の話は初見なので、なんとも批評のしようがない。 ただまぁ、そうなのだろうなぁ・・・と思うが、属地主義という考え方はあまり、この筆者には有効ではないのかな?という気がしないでもない。
264頁 「GAO(アメリカ政府会計検査院)によると、アメリカの特許制度は個人の特許権保有者の保護およびその発明の排他的使用権を個人に付与する制度が中心となっている。 一方、日本では特許制度を通じて技術を伝播し、特許が産業の発達に寄与するように図ることが主眼となっている。」
ここは一理あると思うけど、
265頁 「GAOの報告書は、・・・、まさに日本の制度は国家建設のための、防衛的な、かつ同時に攻撃的な、戦略となってきたのである。」
米国も国家戦略として特許を利用しているのだから、日本も国家戦略として特許を利用していいのではないのかな? これでは、まるで、日本が米国の属国なんだから、特許制度も米国風にしなければならないって言われてるに等しいよね。
265頁 「外国から日本の当局に出願された申請の承認を故意に遅らせるとか、保護項目を制限するとか、競争相手に出願内容を吟味させるとか、コメントを求めるとか、あるいは実行不可能なことを義務付けるといったことなどだ。」
とあるけど、勉強をよくしてないから、うろ覚えというか耳学問だけど、米国だって、以前は、先願としての地位を有するには英語で出願しないと、優先権があっても後願排除効としての先願権はないみたいなことがあったんじゃなかったけ? 各国が、パリ条約等に反しない範囲で(反している部分もあるのかもしれないけど)一応の国際的な枠組みの中で保護しているのだから、特段日本が国家のためになるような法律を作って特許を保護していても問題はないような気もするが・・・
216頁から217頁にかけて、日本のホテルでは盗聴されているだの、ホテルでパソコンを使用するとハードディスクが定期的にダウンロードされているだの書かれているけど、ここまでくるとホントなの?と疑いたくなる。 やっぱりスパイ映画もののように知財の世界でも謀略というものがなされているのかしらん?? また、現地情報が毎日のようの在外政府機関から経産省に送られて分析されているなんてことも書いてあるけど、外務省では、昨今のTV等で、現地の新聞情報を翻訳して、本省に送信するのが仕事だなどと揶揄されている国でそこまでのことがやられてるのかしらん???
345頁 「中国の経済が日本と同じように進展していくのであれば、自分たちが外国で権利を保護しておきたい技術を開発するようになって初めて知的財産の保護についての関心が高まることになるのであろう。」
まさに、この本が伝えていることを端的に表している部分である。 歴史は繰り返すのである。
第9章 特許戦争の項では、いかに米国が自国の技術を切り売りしようとしているか、プロパテントならぬ方向に進んでいるのか(この筆者の場合、個人の利益が損害を蒙ることを憂えているわけであるが)について記載されていて、面白い。
433頁 「アメリカ特許庁は、商務省管轄から外し、民間の理事会が運営する民間組織とする。」
日本でも特許庁の民営化という点が議論されているようであるが(確か、弁理士会は声明を出して反対してたと思うけど、)、米国でもあるのね!! EPOは条約により作られている機関だから、民営化なんてことはなさそうな気もするが、日本特許庁とアメリカ特許庁が民営化されるなんて日がくるかもしれないってことね。 日本特許庁が民営化される日が来たときには、弁理士資格なんて屁みたいな資格になっちゃうんだろうなぁ。。。
441頁 「アメリカが特許の保護期間短縮を約束することと引き替えに日本からレーマンが引き出したことは、2ヶ月以内に日本語に翻訳して提出するという条件付きで、アメリカ側の日本での特許出願は英語でも受け付けさせるという、何とも些細な譲歩だったのである。」
よく、日本の外交は及び腰でよくないと言われていたりするが、この本では日本の外交&通商政策は非常にアメリカに対して強行的であり、国益を考えているとなっている。 この本は、ある意味、日本国公務員がいかに頑張っているかのプロパガンダに使えるのではないかな!? うむうむ。
やっぱり、外国語書面出願制度は米国のために入れたという話はホントだったのだね。 この辺を読むと、36条の2の青本の趣旨って何?ってなってくるけど・・・ やっぱりの建前と本音の使いわけってとこかな(弁理士たるもの建前も使える大人であれ!!!ってことか。。。)。
454頁 「・・・「従前使用条項」(他人の特許も、もし前から自分が使っていたことを証明できれば無償で使用することが出来るとする案)は、産業界が特許ではなくトレード・シークレットの方を選ぶことを助長する、そうなると技術は隠されてしまうことになる、と指摘した。 これでは発明家は保護期間が限定され、技術も公開されてしまう特許権に対する魅力を感じなくなる。 また、そうなると社会の知識の水準が減退してしまう、というのである。」
従前使用条項、日本でいうところのいわゆる先使用権に該当すると思われる。 432頁にも、(個人)発明家の保護が今ひとつになると筆者が考える施策として、列記されているものの一つである。 しかし、日本では、既にその制度があって、利用されていないから、出願件数減らしのためにも、利用してくれぇ~ってなっている。 日本と米国の発明をする環境の違いがあるからなんとも比較しがたいけど、先使用権があるとそんなに発明が秘匿化されるのかね??? そもそもが、先発明主義の国なんだから、先使用権があるということは、斯かる特許権は無効なんでは? って、出願してないから、インターフェアランスはかけれないのかな??? ただ、米国法についてはほぼなんにも知らず、インターフェアランスの期間がどれだけあるのかもわからないから、先使用権を導入することにも意義が出てきてしまうのかも、である。
464頁 「「特許の審査業務の外注は全体を外注する前段階の一つのステップである。 つまり、1995年のブルース・レーマン長官が提案し、今でも大企業のほとんどがワシントンでこのためのロビイスト活動を展開し、日本およびヨーロッパ政府が支持している特許商標庁業務全般の民営化のためのワンステップ」だったのだ。」
とあるけど、そして、これを外部委託条項というようだけど、日本政府もアメリカ特許商標庁の民営化を支持しているとなると、日本特許庁も当然民営化されるよね。 アメリカの特許商標庁だけ民営化させて、アメリカでだけは、特許権が公に権利として認可されるものではなくするとして、アメリカの知財戦略の弱体化を狙っているとは思いがたいよなぁ。 他国の特許庁だけ民営化させて自国は国営でなんて、外交通商上無理がありそうな気がするけど、できんのかな??? やっぱり、日本でも将来的には民営化とまではいかなくても、独立行政法人化ぐらいはされてしまうってことなのかもな。 となると、弁理士資格って紙くず??? というか、外部委託条項が民営化の第一歩ということは、審査の外注を盛んに行っている日本の特許庁はもはや民営化されるのが必然!?!?
495頁 「1998年ソニー・ボーノ著作権保護期間延長法」
「その法律はもっと適切に、「ディズニー・コーポレーション著作権保護法」とでも言ったほうがよかった。 というのも、ディズニーのミッキーマウスの著作権は2003年に保護期間が満了となり消滅するはずであり、同じく、グーフィ、プルート、そしてドナルド・ダックは2009年に満了を迎えるはずであった。」
今日本でも、著作権の保護期間を70年にというムーブメントがある。 日本弁護士会は反対声明を出したようではあるが・・・ この本でも指摘されているが、特にアメリカでは、今後も著作権は伸び続けて、商標権を超える存在になるのかもしれない・・・ いやはや、やっぱりロビー活動というのが凄い国だよね。 日本の金権政治との違いはなんなんだろうかいな???
501頁 「’’ハッピー・バースデー・トゥ・ユー’’という歌は、毎年200万ドルの使用料を稼いでいる。・・・この歌の著作権は2030年まで持続することとなった。 この歌から入る毎年200万ドルの印税のうち半分は、世界最大のミュージック商品の版元である複合メディア企業、AOLタイムワーナーが受け取る。」
へっ!? あの歌は著作権あったのぉぉ~・・・ いやぁ、知らなかった。
本日のキーワード: 日本は日本で・・・、米国は米国で・・・って感じ。
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コメント
弁理士一期一会さん。
お久しぶりです。
ブログですが、一応作成の登録をしたのですが、今
論文過去問と条文・青本の勉強で、時間がないので
もうちょっと落ち着いてから始めようと思います。
タイトルとして考えているのは『弁理士試験につっこみ入れさせて
もらいます』にしようかなと思っています。
最近論文過去問の全文書きしていて、少し壁です。
項目ごとの書くバランスが悪いみたいです。
厚く書くところを厚く書いていなかったりしていて、まだまだ
努力が足らないのかも。
1日3通全文書きしていますが・・・。
もしその辺り是非アドバイスあれば宜しくお願いいたします。
条文の方は、条文の情報一元化をこつこつこなしています。
そのせいか条文が解ってきましたよ。
これからも宜しくお願いいたします。
投稿: 松ちゃん | 2006年12月11日 (月) 11時12分
ブログ書くことが目標でなく、試験に受かることが目標なので余裕があればでいいと思いますよ。 実際、私もブログを始めようかなぁと思っていて、はじめたのは、結局、論文試験終了後ですしね。
1日3通とはすごいですね。
消化不良にならないように気をつけてくださいね。 量も必要ですが質も必要ですからね。
項目については、問題文の末尾をよく読むことですかね。
末尾に書いてある問に答えることが論文式試験ですので、その問の解答事項がその問題の直接事項であって厚く書くべきところですかね。
答案構成時にあがってくる項目があると思いますが、それら項目を均等に書こうとするのでなく、問われていることに素直に答えよう、寧ろ、問われていること以外には答えん!!ってな感じで書いてみるといいかもしれませんよ。
論文式試験は、書かないという勇気も必要な試験です。 勇気というよりは、いらないと見極められる力をもつということですが。
投稿: 弁理士一期一会 | 2006年12月11日 (月) 23時29分