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2008年11月21日 (金)

嘘を見破る質問力

反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力 荘司雅彦 日本実業出版社

 弁護士の書く書籍を読めば、コミュニケーション能力が少しでも上がるのではないかと思い、読んでみました。 発明者の方から発明の本質を聞き出す能力(コミュニケーション能力の一)は、明細書の良し悪しに直結する1つの要因であると考えているからです。 得てして発明者の方は、思い込みで発明に接していらしたりするので(発明者原稿もどうしても。。。)、明細書の観点から考えて、特許法における発明へと昇華させるために発明者の想いを聞き出すのが、我々弁理士の仕事ですからねぇ~。。。

 今流行のコンサルティング講座も、明細書作成技術の向上という観点から受けてみるのもいいのではないか?と思っておるわけです。 特に、コミュニケーション絡みの講座!?

 質問力の点に惹かれて読んだのですが、嘘を見破るが強く出ていました。 題名に正直すぎる本でした。 一般人にここまで嘘を見破る必要があるの?と考えると、あまり売れない本かもしれませんねぇ~

170頁 「私は、有能な弁護士の資質の大きな要素として、判例検索能力と、類似性発見能力があげられるのではないかと思い至りました。」

 弁理士の仕事において、判例検索能力はあまり必要とされませんね。 過去の判決に基づいているというよりは、判決の寄せ集めである審査基準に基づいて仕事しますからね。 このことは、お互い様で、向こう岸からの拒絶理由においても、判決を引用してくる審査官はほんとに少ない気がします。 まぁ、行政官という観点から、審査官が判決を引用するのはどうかとも思いますが。。。

163頁 「「結論」が先にあり 「理由」は、結論をもっともらしく見せるための理屈(論理)としてのみ意味がある」

164-165頁 「双方が和解に応じず、仕方なく判決書を書くことになっても、裁判官の「主文」(つまり「結論」)はすでに決まっていて、あとは控訴されたときに控訴審の裁判官に理由部分(つまり結論を支える「論理」)で、文句をつけられないように細心の注意を払うだけなのです。」

 どこかの拒絶査定、拒絶理由と似ていますね。 審査が遅れている以上、どうしても後知恵は、ついて回りますしね。。。 後知恵があれば、先に相場観も踏まえて結論が先に心証形成されて、、、考えすぎでしょうか。。。

 

 「請求項に係る発明が、第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとの心証を得た場合には、拒絶理由を通知する。
 出願人はこれに対して意見書、実験成績証明書等により反論、釈明をすることができる。
 そしてそれらにより、請求項に係る発明が第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとの審査官の心証を真偽不明になる程度まで否定できた場合には、拒絶理由は解消する。審査官の心証が変わらない場合には、進歩性の欠如の拒絶理由に基づく拒絶の査定を行う。」(審査基準より)

 の「審査官の心証が真偽不明になる程度まで否定」というところをもう少し厳密に考えてもらいたいところですね。

 意見書を書くときにためになりそうなところを最後に、

177頁 「①まずは、相手の言い分と「客観的事実」との矛盾が最優先 ②相手の言い分の中での矛盾が二次的」

 ということで、質問力というよりは、考え方の勉強になりました。

 弁理士会の報告だったかで、進歩性否認の判断に対して最も有効なのは、引用文献における認定の間違いを指摘することというのを読んだ、聞いた記憶があります。 論理づけを否定する方向にイキガチですが、まずは、引用文献をじっくり読んで、じっくり認定を反論することが重要と。 論理づけの否定は、よっぽどの阻害要因でもない限り否定しにくいと。 まして、効果で勝負なんてぇのは、愚の骨頂と。

 審査基準上も、

 「①引用発明と比較した有利な効果の参酌
 請求項に係る発明が引用発明と比較した有利な効果を有している場合には、これを参酌して、当業者が請求項に係る発明に容易に想到できたことの論理づけを試みる。そして、請求項に係る発明が引用発明と比較した有利な効果を有していても、当業者が請求項に係る発明に容易に想到できたことが、十分に論理づけられたときは、進歩性は否定される。」

 と前提として、論理づけができたら、進歩性は効果の如何にかかわらず、アウトですからね。 一応、なお書き的に、

 「しかし、引用発明と比較した有利な効果が、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものであることにより、進歩性が否定されないこともある。
 例えば、引用発明特定事項と請求項に係る発明の発明特定事項とが類似していたり、複数の引用発明の組み合わせにより、一見、当業者が容易に想到できたとされる場合であっても、請求項に係る発明が、引用発明と比較した有利な効果であって引用発明が有するものとは異質な効果を有する場合、あるいは同質の効果であるが際だって優れた効果を有し、これらが技術水準から当業者が予測することができたものではない場合には、この事実により進歩性の存在が推認される。
 特に、後述する選択発明のように、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属するものについては、引用発明と比較した有利な効果を有することが進歩性の存在を推認するための重要な事実になる。」

 とありますが、異質であることの証明や、同質であっても際だって優れていることを証明することは難しいですからねぇ~

 効果自体が客観的に示されていても、その顕著性や異質性についての効果の判断って主観的なものですから、効果のみに立脚して進歩性の存在を主張するのは難しいですよね。。。

 

 

本日のキーワード: 欧米と大きく違う点ですかね。

 

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