2009年7月12日 (日)

日本経済新聞あれこれ

 2009年7月8日(水)付け朝刊

 「世界のM&A 5年ぶり低水準 ファンド主導激減 医薬・資源は活発化」として、

 「医薬では1月、米ファイザーが同ワイスを09年上期で最大金額となる644億ドルで買収。 米メルクは3月に同シェリング・プラウを459億ドルで買収することを明らかにした。 資金力に余裕のある大手が事業規模を拡大し、新薬開発などに向けて経営強化を推進している。」

 欧米で同業間での大きなディールが動くのは、手元資金は株主へ!という強制力が働くからでしょうか。 株主重視といいつつも、株主に還元するくらいなら、他社を買ってしまいましょうと。 それで、経営陣としては、収入もドンドン増えていき、、、っという。

 第一三共、アステラス、田辺三菱、大日本住友となったとはいえ、日本では、まだ大型のディールは動いていないですね。 エーザイ、小野、大塚、塩野義の今後が気になるところです。

 まだまだ、創業家が強いのが日本の製薬で大型のM&Aが起こっていない所以ですかね。

 

 2009年7月11日(土)付け朝刊

 「製薬中堅の日本ケミカルリサーチ(JCR)は特許切れのバイオ医薬品と似た製法で作る「バイオ後発薬」の量産を始める。」

 「JCRの製品は10年初めにも国産品として初めて承認が得られるとみており、本格的な量産準備に入る。」

 JCRが販売を予定しているのは、EPOなわけですが、

 「EPOの新薬は中外製薬とキリンビールの医薬事業本部が1990年に発売、04年から05年にかけて特許が切れた。 08年度国内売上高(薬価ベース)は両社合計で約1100億円。」 

 EPOって、アドレナリンとエピネフリンのようなネーミングの違いってありませんでしたっけ???

 

 エスポー(キリン エポエチン アルファ)とエポジン(中外 エポエチン ベータ)です。

 

 

 なお、JCRは、先立て、本邦でバイオ後発薬として認可されたソマトロピンを販売しているようです。

 

 

本日のキーワード: バイオシミラー

 

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2008年11月 7日 (金)

【1】M&A

M&Aの新展開 三角合併解禁を契機として 西村高等法務研究所叢書1 商事法務

 「M&Aと知的財産」 中山信弘 63−76頁

 M&Aにおける知財DDがどういうものかの端緒の端緒をつかむには良い論考である。 とはいうものの、いくら中山大名誉教授といえども、DDとは、すなわち実務法務なわけで、ピントがずれているような気がしないでもない(追って、詳細は紹介。)。

 M&Aで重要なこと:「対象企業の財務等の状況の把握が、いうまでもなく一番重要」(64−65頁)

 財務状況となると、税理士、会計士の独壇場といえよう。 情報の開示という点でも、監査法人に一日の長がある(あずさ監査法人トーマツ、中でもトーマツはより進んでいるといえよう)。 会計DD、税務DDが提案型とすれば、法務DDはリスク確認型というところも(というイメージを私は抱いている)大きなポイントかもしれない。

 弁理士のとりえるスタンスは何か?:「財務諸表には明記されていない偶発的あるいは潜在的な債務の有無の確認ということが重要な作業」(65頁)

 知的財産における偶発的あるいは潜在的な債務を見つけ出せるかが、知財DDのミソである以上、技術から敷衍できる点に弁理士が関与する意味があるといえよう。

 知的財産における債務とは何か?:「第三者の知的財産の侵害(損害賠償)、職務発明の対価」(66頁) 「特許権の維持コスト」(74頁)

 IVと富士通ではないが、特許権の維持コストを債務と見る必要もある。

 第三者の知的財産の侵害と絡んで、特許権の帰属、実施権の許諾が重要になってくるが、今後の知財DDにおいては、産活法に基づく包括ライセンスの通常実施権についてもDDにおける質問項目とする必要があろう。

 弁護士マターになってくるところだろうが、「支配権の移転を理由とする解除条項というものが存在する場合があります。」、「M&Aの結果としてライセンス契約が解除されることもあり得るわけで、」(いずれも、77頁)

 いわゆるChange of control条項である。 契約書のレビューをする際には、弁理士であってもChange of control条項にも気を回す必要もあろう。

 

 

本日のキーワード: まずは基本から

 

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