「2 先行処分に係る延長登録の効力の及ぶ範囲についての誤り
当裁判所は,審決が,先行処分を理由とする特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力を,処分の対象となった品目とは関係なく,「有効成分(物)」,「効能・効果(用途)」を同一とする医薬品に及ぶものと解して,原告のした延長登録の出願に対して,政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないと判断した点に関し,特許法68条の2の解釈上の誤りがあると解する。」(51頁)
としています。 上告することで、知財高裁(飯村コート)の出した「解する」との考え方が間違いと判定されなくもないと思いますので、上告されるのか、上告されないのか、また、今後どのようにして登録査定又は拒絶査定が出されるのかについても要チェックです(何回も要チェックモードになります。)。
「これは,特許請求の範囲の記載によって特定される特許発明の技術的範囲が「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除された範囲よりも広い場合に,「政令で定める処分」を受けることが必要なために特許権者がその特許発明を実施することができなかった範囲(「物」又は「物及び用途」の範囲)を超えて,延長された特許権の効力が及ぶとすることは,特許権者と第三者の公平を欠くことになるからである。すなわち,特許権の存続期間の延長登録の制度は,特許権者がその特許発明を実施する意思及び能力を有するにもかかわらず,特許法67条2項所定の「安全性の確保等を目的とする法律」の規定によりその特許発明の実施が妨げられた場合に,実施機会の喪失による不利益を解消させる制度であるから,そのような不利益の解消を超えて,特許権者を有利に扱うことは,制度の趣旨に反することになる。」(52頁)
判決の根底として、審査を終えた状態から、初めて68条の2の判断ができるとの判示がなされたと考えられます。 すなわち、68条の2の解釈をする前に、審査の結果としての、「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除された範囲が定まっている必要があるということであり、67条の3の拒絶理由を判断する際に、68条の2は、関係なく、67条の3の拒絶理由に該当しないとして、登録された後に、68条の2により効力範囲の調整が行われるということですね。 したがって、効力範囲の調整規定である68条の2に基づいて、67条の3第1項第1号を判断するのは、明らかにおかしいことになります。
「以上のとおり,特許法68条の2は,特許発明の実施に薬事法所定の承認が必要であったことを理由として存続期間が延長された場合,当該特許権の効力は,薬事法所定の承認の対象となった物(物及び用途)についての当該特許発明の実施以外の行為には及ばないとする規定である。」(52頁)
とりあえず、延長しちゃいなさいということでしょうか。 そして、権利範囲で調整すると。 この考え方は、先発メーカーに取っては、両刃の剣ですね。
今までは、製剤特許とかでも、「有効成分」と「効能・効果」で延長がされていたわけですから、別製剤についても効力の延長がなされていたわけですよね(一応)。 ところが、今回の文理解釈により、承認を受けた製剤そのもの以外については、効力範囲外になりますので、虫食い申請を許す厚生労働省の動きからすると、先発の製剤に類似する製剤がより早く出てくることになりそうです!
青本や注解特許法を眺めてみようと思います。
「薬事法14条1項が,「医薬品・・・の製造販売をしようとする者は,品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。」と規定しており,同項に係る承認に必要な審査の対象となる事項は,「名称,成分,分量,構造,用法,用量,使用方法,効能,効果,性能,副作用その他の品質,有効性及び安全性に関する事項」(薬事法14条2項3号参照。なお,平成16年法律第135号による改正前の薬事法14条2項柱書きでは,審査の対象となる事項は,「名称,成分,分量,構造,用法,用量,使用方法,効能,効果,性能,副作用等」とされている。)とされていること,薬事法14条9項が,「第一項の承認を受けた者は,当該品目について承認された事項の一部を変更しようとするとき(当該変更が厚生労働省令で定める軽微な変更であるときを除く。)は,その変更について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。この場合においては,第二項から前項までの規定を準用する。」と規定していること(なお,平成16年法律第135号による改正前の薬事法14条7項の規定も同じ。)に照らすならば,薬事法上の「品目」とは,形式的には,上記の各要素によって特定されたそれぞれの物を指し,それぞれを単位として,承認が与えられるものというべきである。」(53頁)
読み下すと、
薬事法14条1項が,「医薬品・・・の製造販売をしようとする者は,品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。」と規定しており,同項に係る承認に必要な審査の対象となる事項は,「名称,成分,分量,構造,用法,用量,使用方法,効能,効果,性能,副作用その他の品質,有効性及び安全性に関する事項とされていること,
薬事法14条9項が,「第一項の承認を受けた者は,当該品目について承認された事項の一部を変更しようとするときは,その変更について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。この場合においては,第二項から前項までの規定を準用する。」と規定していることに照らすならば,
薬事法上の「品目」とは,形式的には,上記の各要素によって特定されたそれぞれの物を指し,それぞれを単位として,承認が与えられるものというべきである。
なので、14条1項及び9項が重要です。
薬事法第十四条 医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品及び第二十三条の二第一項の規定により指定する体外診断用医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品又は医療機器(一般医療機器及び同項の規定により指定する管理医療機器を除く。)の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の承認は、与えない。 一 申請者が、第十二条第一項の許可(申請をした品目の種類に応じた許可に限る。)を受けていないとき。
二 申請に係る医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を製造する製造所が、第十三条第一項の許可(申請をした品目について製造ができる区分に係るものに限る。)又は第十三条の三第一項の認定(申請をした品目について製造ができる区分に係るものに限る。)を受けていないとき。
三 申請に係る医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項の審査の結果、その物が次のイからハまでのいずれかに該当するとき。 イ 申請に係る医薬品、医薬部外品又は医療機器が、その申請に係る効能、効果又は性能を有すると認められないとき。
ロ 申請に係る医薬品、医薬部外品又は医療機器が、その効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品、医薬部外品又は医療機器として使用価値がないと認められるとき。
ハ イ又はロに掲げる場合のほか、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器として不適当なものとして厚生労働省令で定める場合に該当するとき。
四 申請に係る医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器が政令で定めるものであるときは、その物の製造所における製造管理又は品質管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合していると認められないとき。
3 第一項の承認を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において、当該申請に係る医薬品又は医療機器が厚生労働省令で定める医薬品又は医療機器であるときは、当該資料は、厚生労働大臣の定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。
4 第一項の申請に係る医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器が、第十四条の十一第一項に規定する原薬等登録原簿に収められている原薬等(原薬たる医薬品その他厚生労働省令で定める物をいう。以下同じ。)を原料又は材料として製造されるものであるときは、第一項の承認を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該原薬等が原薬等登録原簿に登録されていることを証する書面をもつて前項の規定により添付するものとされた資料の一部に代えることができる。
5 第二項第三号の規定による審査においては、当該品目に係る申請内容及び第三項前段に規定する資料に基づき、当該品目の品質、有効性及び安全性に関する調査(既に製造販売の承認を与えられている品目との成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能等の同一性に関する調査を含む。)を行うものとする。この場合において、当該品目が同項後段に規定する厚生労働省令で定める医薬品又は医療機器であるときは、あらかじめ、当該品目に係る資料が同項後段の規定に適合するかどうかについての書面による調査又は実地の調査を行うものとする。
6 第一項の承認を受けようとする者又は同項の承認を受けた者は、その承認に係る医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器が政令で定めるものであるときは、その物の製造所における製造管理又は品質管理の方法が第二項第四号に規定する厚生労働省令で定める基準に適合しているかどうかについて、当該承認を受けようとするとき、及び当該承認の取得後三年を下らない政令で定める期間を経過するごとに、厚生労働大臣の書面による調査又は実地の調査を受けなければならない。
7 厚生労働大臣は、第一項の承認の申請に係る医薬品又は医療機器が、希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められるものであるときは、当該医薬品又は医療機器についての第二項第三号の規定による審査又は前項の規定による調査を、他の医薬品又は医療機器の審査又は調査に優先して行うことができる。
8 厚生労働大臣は、第一項の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、同項の承認について、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。 一 申請に係る医薬品、医薬部外品又は化粧品が、既に製造販売の承認を与えられている医薬品、医薬部外品又は化粧品と、有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なるとき。
二 申請に係る医療機器が、既に製造販売の承認を与えられている医療機器と、構造、使用方法、効能、効果、性能等が明らかに異なるとき。
9 第一項の承認を受けた者は、当該品目について承認された事項の一部を変更しようとするとき(当該変更が厚生労働省令で定める軽微な変更であるときを除く。)は、その変更について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。この場合においては、第二項から前項までの規定を準用する。
10 第一項の承認を受けた者は、前項の厚生労働省令で定める軽微な変更について、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。
11 第一項及び第九項の承認の申請(政令で定めるものを除く。)は、機構を経由して行うものとする。
申請に係る医薬品の名称、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項
品目の品質、有効性及び安全性に関する調査(既に製造販売の承認を与えられている品目との成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能等の同一性に関する調査を含む。)
との記載からすると、
品質、有効性及び安全性には、名称、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用が含まれるということで、
すなわち、
品質、有効性、安全性についての審査とは、名称、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用の審査をするということです。 14条5項では、副作用が品質のうちから削除されているのですが、副作用については同一性よりも再度審査されるということでしょうか(成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能はいずれもポジティブな特性なので、同一性が担保されていれば問題ないですが、副作用については、成分~性能のいずれかが異なれば同一性が担保されることはないということで、再度審査されるということでしょうか。)。 この場合、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能が同一であれば、副作用も審査するとはいえ、同一ということでしょうかね。 逆にいうと、副作用は、成分~性能の同一性が示されれば、審査の対象ではないという道が示されているということでしょうか。
したがって、薬事法上の、審査の対象は、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能ということになります(プラスとして、副作用)。
「さらに,「用法」,「用量」,「使用方法」,「効能」,「効果」,「性能」は,「用途発明」における「用途」に該当することがあり得るとしても(この点,「用途」に該当するというためには,特許法上,「用途発明」として,保護されるべき内容を備えていること,すなわち,客観的な「物」それ自体の構成は同一であっても,「用途」が異なることにより,特許法上,「物」の発明として「同一」とは認められないと評価されるだけの内容を備えていることが必要である。),客観的な「物」それ自体の構成を特定するものではない。」(54頁)
さらには、
「したがって,「政令で定める処分」が薬事法所定の承認である場合,「政令で定める処分」の対象となった「物」とは,当該承認により与えられた医薬品の「成分」,「分量」及び「構造」によって特定された「物」を意味するものというべきである。なお,薬事法所定の承認に必要な審査の対象となる「成分」とは,薬効を発揮する成分(有効成分)に限定されるものではない。」(54頁)
とすると、
68条の2の解釈においては、
物としては、「成分、分量、構造」であり、
用途としては、「用法、用量、使用方法、効能、効果、性能」ということになります。
これまでは、
物としては、成分の一要素である、「有効成分」と、
用途としては、「効能、効果」で判断していたということだったと思いますので、
えらく権利範囲が狭まることになります。
67条の3第1項第1号では、
とりあえず、機構からの承認が下りていれば、①の要件はクリアーすると思いますが(より認められやすくなるというプラスの方向)、②の要件を満たすために、出願人が証拠の提出が求められることを考えると(負担の増大、秘密事項の開示必要というマイナスの方向)、結構、出願人(先発メーカー)にとって、マイナス面の方が大きく、良い判決とはいえないような気がしてきました。
このことは、
「以上のとおり,特許発明が医薬品に係るものである場合には,その技術的範囲に含まれる実施態様のうち,薬事法所定の承認が与えられた医薬品の「成分」,「分量」及び「構造」によって特定された「物」についての当該特許発明の実施,及び当該医薬品の「用途」によって特定された「物」についての当該特許発明の実施についてのみ,延長された特許権の効力が及ぶものと解するのが相当である(もとより,その均等物や実質的に同一と評価される物が含まれることは,技術的範囲の通常の理解に照らして,当然であるといえる。)。」(54頁)
と判示されていることからも、言えるのではないでしょうか。 それがゆえのなお書きでしょうね。 ようは、均等を持ち出さないと権利範囲が狭くなりすぎるということなのでしょう。 ここで、製剤特許で、製剤の成分がマーカッシュで記載されている場合に、その1つについて承認を受けた場合に、マーカッシュ中の他の成分についても、ジェネリックメーカーは承認を受けることができないということなんでしょうか? ここでいう、均等物や実質的に同一と評価される物とは何を意味しているのでしょうかね??? 分量が100mg錠である場合に、110mg錠ぐらいは均等物ということなんでしょうかね???
「しかし,上記の説明は,合理性がない。すなわち,「承認」を受けることによって,禁止が解除される範囲に関して,①医薬品を特定する各要素によって画された範囲と解すべきか,②有効成分(物質)と効能・効果(用途)のみによって画された広い範囲と解すべきかの論点に対して,単に,「薬事法の本質」や「規制のポイント」との用語を使って結論を導いているにすぎず,およそ論理的な説明はされていない。
薬事法の承認が,多くの要素で画された単位でされている以上,その承認の効果は,特段の合理的な事情がない限り,その範囲を超えて効力を有することはないはずである。すなわち,製造販売の禁止が解除される範囲は,一要素にすぎない「有効成分」や「効能・効果」で画された範囲よりも狭いはずである。」(59頁)
前段では、特許庁の主張がぼろくそに叩かれています。 この判決を通して特許庁の主張でとりいれられた部分は一切ないので、仕方ないところなのかもしれませんけど。。。
後段から、68条の2により延長される効力範囲は、非常に狭いということになることが明示されたといえます。
「それにもかかわらず,物質を医薬品として製造販売することを規制することが薬事法の本質であるとして,物質(有効成分)で画された広範な範囲に解除の効果が生じるとする説明は,解釈論によって,特許権の存続期間の延長登録の出願の拒絶理由として,①「その特許権の存続期間が既に延長されたものであるとき。」,②「その特許発明が医薬品に関するものである場合において,当該発明が延長登録出願の理由とされた処分に先行する別の処分の対象となった医薬品と有効成分及び効能・効果において重複するとき。」を付加したのと同様の結果を導く,いわば事実上の立法をしたものと評価すべきであって,合理的な解釈とはいえない。」(60頁)
こうなってくると、2011年に予定されているとかという噂の特許法の大改正で、立法するしかないでしょう! といいつつも、特許庁は立法府ではありませんけど。。。
「また,医薬品の「成分」は,「有効成分」以外のものであっても,医薬品の有効性,安全性を左右することがあり,「分量」,「構造」も同様である。さらに,「用法」,「用量」,「使用方法」,「性能」,「副作用その他の品質」も,「効能」,「効果」と同じく,医薬品の有効性,安全性を左右するものである。」(62頁)
「ところで,このような実務を前提とした上で考察すると,仮に,特許法68条の2の「物」を「有効成分」と解釈するとしたならば,薬事法所定の承認を受けた医薬品を技術的範囲に含まない請求項に係る発明についてまで,存続期間の延長登録の効果を及ぼすことになり,そのような結果は,特許権者に不当な利益を与え,本来の存続期間の満了後に特許発明を実施しようとする者に著しい不利益を課すことになり,存続期間の延長登録の制度の趣旨に反する,不公平な結果を招く。
この点,「政令で定める処分」の対象となった「物」に係る存続期間の延長登録の効果が及ぶ範囲を,当該承認が与えられた医薬品の「成分」,「分量」及び「構造」によって画された「物」についての特許発明を実施する行為と解するならば,「物」を「有効成分」と解することによって生ずる,特許権の存続期間の延長登録の制度の趣旨に反する不当な結果を避けることができるものといえよう。」(63頁)
決定的ですね。。。
ただ、用法用量は、今後、物に付随してくるはずですが、特許法の審査における運用がまた否定されることになるのでしょうか。。。 医薬品における「物」を、成分、分量、構造に限った今回の判決をも考慮した基準作りがなされるのでしょうか。。。 飯村コートは、用法用量を、効能効果のように用途発明の観点から審査しなさいということを演繹しているのでしょうか。。。
今後の手続きについても、
「しかし,出願人は,願書に政令で定める処分の内容を記載し(特許法67条の2第1項4号),資料を添付しなければならないこと(特許法67条の2第2項),資料等に営業秘密が記載されている場合には,閲覧・謄写の制限も可能であること(特許法186条1項ただし書),詳細な情報が開示されないのは,特許庁が特許法68条の2にいう「物」を「有効成分」と解釈する実務を採用していることによるものであることからすれば,被告の上記主張は,特許法68条の2にいう「物」を「成分」,「分量」及び「構造」と解することを妨げる
ものとはいえない。」(64頁)
とはいえ、効力範囲にもろに影響を与える以上、承認を受けた部分については、公示する必要があるでしょうから、閲覧・謄写の制限はどうなんでしょうか? 法律上はできるようですが。。。 判決確定後のこの辺の運用の変遷にも留意が必要そうです。 今、存続期間の延長登録の出願したくないですね。。。
第百八十六条 何人も、特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付(第三項において「証明等」という。)を請求することができる。ただし、次に掲げる書類については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
一 願書、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書若しくは外国語書面若しくは外国語要約書面若しくは特許出願の審査に係る書類(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)又は第六十七条の二第二項の資料
二 拒絶査定不服審判に係る書類(当該事件に係る特許出願について特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)
三 特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
四 個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
五 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの
第六十七条の二 特許権の存続期間の延長登録の出願をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の願書には、経済産業省令で定めるところにより、延長の理由を記載した資料を添付しなければならない。
67条の2第2項の資料は、
特許法施行規則第三十八条の十六 特許法第六十七条の二第二項の規定により、願書に添付しなければならない延長の理由を記載した資料は、次のとおりとする。 一 その延長登録の出願に係る特許発明の実施に特許法第六十七条第二項の政令で定める処分を受けることが必要であつたことを証明するため必要な資料
二 前号の処分を受けることが必要であつたためにその延長登録の出願に係る特許発明の実施をすることができなかつた期間を示す資料
三 第一号の処分を受けた者がその延長登録の出願に係る特許権についての専用実施権者若しくは登録した通常実施権者又は当該特許権者であることを証明するため必要な資料
です。
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宿題: 武田薬品の主張内容&青本、注解特許法
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