第三章 意匠登録要件の見直し(第18~20頁)
意匠法の法目的はなんなんじゃ?という点は、この改正でも明らかになってないよぉ~。 まぁ明らかにもならんじゃろうね。 単純化して創作説と混同説があるとして、意匠の類否判断については、混同説になった。 でも、創作非容易性が意匠登録の要件となっている点からも、創作説は捨てがたい。 やっぱし、今後は適宜使い分けていくっつうことなのかな。 っつうか、過去に聞かれたことあると思うけど、今般の論文式試験で聞かれることはないだろうから、スルーするのが一番なのかもしれませんわね。 理解しやすく比較して書いてある書籍なんつうのはないしね。 因みに、私は、予備校のレジュメ集でも創作説、混同説はかっ飛ばして読んでるし、高田も斉藤も読んだことないし、じぇんじぇん理解できてないから、この項はかなり適当だと思いますぅ。 だから、なんじゃ!こいつ!!ってなるかもしれないですが、今年の干支ばりの激しい突っ込みは厳禁ですよ(笑)
私の中では、特許庁は創作説で、裁判所は混同説だと理解していた(2つしか説がないという過程での話しなので、修正混同説とか色々なことは言わないように!!!)。 つまり、権利化前は創作説であり、権利化後は混同説ということである。 そして、特許庁が創作説であると根拠づける最たるものとして、3条の2があると理解していたのだった。 3条の2は創作説で、類否判断(3条2項)は混同説の立場から審査するってちょっと考えにくいかな!?って思ったのもあってね。。。
まぁ、平成17年度は新人研修(後期)で、小谷先生の講義があったようなので、平成18年度版のそこに期待しよう!!!
「意匠制度では、新しい意匠の創作を保護することを制度の趣旨としているため、・・・」
「・・・、新しい意匠の創作をしたものとは認められないことから、・・・」(以上、18頁)
ってここを読むと、やっぱり特許庁は創作説なんかいなと思えなくもない。 3条の2を改正するにあたっては、平成10年改正の部分意匠制度導入に伴うこの3条の2の趣旨を否定するわけにもいかないし、改正本を書くにあたってどういった感じで書いてくるのか楽しみにしていたのだったが・・・ 何ら新たな意匠を公開することにならないという点は、どういった理由付けをしても変えられないだろうなぁって思っていたので。。。 今年の意匠法の改正は、趣旨だけを考えると部分改正とせずに全面改正としていれば、ちょっとは楽だったのかもしれないけど、まぁ、全面改正はしばらくはないかな? そういえば、商標はどうなったのでしょうか!!! 異議申立てはずっと存続させるのかしらん。。。 SPLT(実体特許法条約)の発効の前には、特許法では全面改正になるかもしれやせんが・・・
「デザイン開発においては、先に製品全体の外観デザインが完成し、その後個々の構成物品の詳細のデザインが決定されて製品全体の詳細なデザインが完了するという開発実態がある。」
ここは、3条の2の改正の前提として成立していない気がするが・・・ 外観デザインが完成し、全体意匠の出願をしたあとに、その構成物品の詳細なデザインが決定されるのであれば、全体意匠において大雑把な部分にしか完成していない意匠は、構成物品の部分の詳細な意匠と類似せんのじゃないか!?と思えるが・・・ それとも、大雑把なものと詳細なものとは大枠で変わらんのだから、3条の2の射程に入るってことが言いたいのかしらん。。。 まぁ、趣旨の項は3文で、その接続詞が「また、」、「このため、」ってなっているんだから、「また、」以下の部分は、並列関係。 そして、「このため、」以下が、並列部分を受けての説明となると考えられる。 したがって、改正本では、上述のような開発実態があることを一の要因として、3条の2の要件緩和が必要と説明していることとなる。 何だか変なのって感じである。 何ら新たな意匠の創作に該当しないから3条の2の適用があるのに、詳細なデザインを後から完了するという開発実態から3条の2の要件緩和って、後から完了している段階で、新たな意匠の創作になっているんじゃねぇの!?ってとこである。
「また、市場において成功した商品については、需要を喚起する独自性の高い創作部分が模倣の対象となりやるいとされる。」
こちらの方は分かりやすいかな。 模倣の対象とされやすいのに(そもそも部分意匠制度の導入趣旨が、独創的で特徴ある部分を・・・なのだから、まぁ、模倣の対象とされやすいという点は大合意) 、全体意匠の出願より先に出願してないから、先願意匠の部分に該当する意匠を保護することができないというジレンマに対し、模倣のし得を排除するための要件緩和ということであれば、理解しやすいかな。 この場合には、産業界からの要請とでもいえば聞こえはいいのかもしれない。 何で、今回の改正では今まで良く使われてきた趣旨の一である、産業界からの要請という点が明示されてないんでしょうかね??? 要請がなかったのかしらん!?!?
「このため、独自性の高い自己の製品デザインの保護を強化するため、先に製品全体の意匠について出願し、それに遅れて、先の意匠の一部を部品や部分意匠として出願した場合でも、双方の意匠について意匠登録を受けられるようにする必要がある。」
しかし、若干、権利期間の実質的な延長につながる改正をするというのは画期的なことではないかな???
青本880頁 「先願として意匠権を得た意匠の一部と同一又は類似の意匠について後日に改めて権利化することは、実質的な権利の延長を招くおそれがあり、不適当であることから、後願の出願人が先願の出願人と同人であるか他人であるかを問わず、新設する規定を一律に適用することとしたものである。」
なので、やっぱり、今回の改正は、平成10年改正の趣旨を真っ向からなぎ倒すような改正なんだよね。 最近は、部分改正しかしてないから、こういう、前回改正の趣旨をぶった切るような改正が多い。 まさに、受験生泣かせである。
≪短答ポイント1≫
先願として組物の意匠登録出願がある場合に、その構成物品の意匠登録出願を後にした場合には、その構成物品の意匠登録を受けることができる場合はない。
否
≪短答ポイント1’≫
先願の意匠公報に掲載された部分意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。
是
3条の2ただし書 ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であって、20条3項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条4項の規定により同条3項4号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない。
どうでもいいことだけど、まだ大きい「つ」なのね。 昭和35年法の名残がまだあるということですわな。
3条の2の適用対象となる先の意匠登録出願は、意匠権が発生して意匠公報に掲載された場合と、同日出願協議不成立により拒絶査定又は拒絶審決が確定した場合に意匠公報に掲載された場合である。 当然のことながら、後者の場合には、後に同一内容の出願をした場合には、同一出願人であったとしても3条の2の適用はあるという点を忘れてはいけない(ただし書の適用はない。)。
秘密意匠の場合には、意匠公報に2回掲載されるので、どちらが3条の2の適用除外の終期かをただし書中のかっこ書で規定している。 これは、関連意匠の場合と同じなので、まぁ覚えやすいだろう。 秘密意匠の場合は、意匠の内容が隠された1回目の意匠公報の発行の日前に出願することが必要ということになる。
≪短答ポイント2≫
意匠公報の発行前であれば、同一の出願人がその意匠の一部について意匠登録出願をすれば、常に意匠登録を受けることができる。
否
今年の規定は例外規定が多く設けられているので、こまごまとした条件設定を問題文に表さないといけないので問題を作るのが難しいかもしれやせんね。。。
秘密意匠に絡めて先に、
「当該秘密期間に出願された後日出願は同一出願人による場合であっても、本条の規定により拒絶することとしている。」(20頁)
≪短答ポイント2’≫
秘密意匠に関する意匠権については、その一部について同一出願人が意匠登録出願した場合であっても、常に、意匠登録を受けることができない。
否
書誌的事項の意匠公報の発行→意匠の内容等実体的事項の意匠公報の発行と秘密意匠の場合に意匠公報が2回発行されるが、その間の出願については、3条の2の適用除外は受けられませんよってことを20頁で説明している。
3条の2の説明で、ちゃんと書いているなぁと思ったのは(その趣旨はいまいちだが。)、
「後願意匠と同一又は類似の意匠が、先願意匠の一部として既に開示されたものであるとしても、同一出願人による場合には、それによって新たな意匠の創作であることを否定しないとするものである。」(20頁)
やっぱ、創作説なんじゃねぇのぉ~ って、話戻しすぎ・・・
「後願意匠と同一又は類似の意匠」&「先願意匠の一部」って文言は、短答式試験で使われそうな文言ですなぁぁぁ。
「本規定の趣旨は(って、ただし書の規定のことと思われるが・・・)、先願意匠の一部をなす後願の意匠権成立による権利の錯綜を避けることにもあることから、同一の者か否かの判断は、可能な限り権利成立に近い時点である査定時に行うこととする。」(20頁)
査定又は審決時ではないということかな。 商標法では、3条の判断基準時って、査定又は審決時でなかったっけ??? ここは、受験生ではないので、スルーしとこう(そのうち分かるじゃろ)!!! とにもかくにも、特許法の29条の2では、後願の出願時が判断基準時となるが、そことは確実に違うということである。
特許法29条の2ただし書 ただし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。
とあって、後願の出願時において出願人同一であることが条文上明記されている。 因みに、発明者同一の判断基準時は本来的には出願時になると思うが、発明者については、補正ができるのでその場合の判断基準時は、なんというのでしょうかね。。。 実質、査定時ということかな。 っつうか、発明者が変わるっつうのが本来おかしいことなんじゃが・・・ まぁ、条文上も発明者同一の場合については、出願時であることを明記してないので補正でひっくり返すことができるっつうことになるわけですよ。 ここの説明としては、
青本91~92頁 一般的には、明細書の詳細な説明の欄に記載し、請求範囲には記載しなかったという発明については、出願人はその発明について特許を請求しない。 いいかえれば公衆に開放するという意思であるとみられるが、中には必ずしもそういう場合だけでなく、その出願び請求範囲に記載された発明の説明にどうしても必要なために詳細な説明の欄で特定の技術を記載し、その特定の技術については後日別に出願して特許権を得たいというものがある。 こういう場合には、後に本人が出願すれば特許が受けられるようにしないと困るのでその旨を規定した。
とあって、出願人同一の判断時が後願の出願時であることが明らかとなる。
≪短答ポイント3≫
先願と後願の出願人は、後願の出願時において同一でなければ、3条の2の適用により後願は意匠登録を受けることができない。
否
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