日本弁理士会
世の中では、衆議院の解散がいつあるのかという点が問題になっているわけですが、日本弁理士会では、次期会長選挙が話題になっているわけです。 私も、そこから波及してちょっといろいろ調べてみました。
日本弁理士会には、1人の会長と、8人の副会長がいて、
弁理士法63条第1項
弁理士会に、会長、副会長その他会則で定める役員を置く。
弁理士会会則61条
本会に次の役員を置く。
(1)会長 1人
(2)副会長 8人
以下、略
なお、昔は、総括副会長というものがいたわけですが、平成17年の改正で総括副会長というものはなくなったわけです。
今回の会長選挙は、元企業内弁理士vs特許事務所弁理士という構図があったりもするわけです、、、(登録番号が、キリ番なのはいいですね!) 改革派vs守旧派といった構図でもいいのかもしれません、、、 弁理士業務の拡大路線vs既得権益の維持路線といえもするかもしれません。。。 そもそも、弁理士会の会長、副会長等の選挙は多くの年で、各会派による調整が行われているような感じなので無風なわけです。 国会議員などと同視するのはおかしいかもしれませんが、衆議院議長や参議院議長の決まり方を見ていれば、当然といってもいいかもです。 今年の選挙選において、鬼のようにFAX、メール、手紙等が乱れ飛んでいるのは、2年前の副会長選があったからかもしれません。 とはいえ、この時もなんだかんだいっても、特許事務所弁理士vs特許事務所弁理士だったわけで・・・ 今年は、特に異様なのかもです。
ここで、特許事務所(会派!?)をしょっている候補その方自体と面識がありませんので、その方がどうこうという気はありませんが、多くの事務所もそうだと思いますので、一例として、とりあえず、数字だけから考えてみたいと思います。
特許庁からこんなお願いが出されているわけです。
そこで、IPDLで調べてみると、記載例に従った形式で出願が行われていないことは明らかです。 弁理士ナビで、事務所名で検索して、登録後2年以上の弁理士の特許庁保有取扱分野情報の欄を見てみても判ります(なお、登録後4~5年の弁理士で名前が公報に出ない事務所は、完全に所長のみか、あってもパートナークラスしか代理人としないと考えていい事務所だと思います。 また、願書と、判決文とを比較して、後者で代理人が増えている場合には、間違いなく、増えた人が出願時の本来の代理人でしょう!!)。
該当事務所のHPによれば、弁理士10名、技術職30名であり、半数が、ここ2~3年で合格した弁理士であること(その前の技術者時代がどれだけあるかは別として)、IPDLにより2007年1年間の公報発行特許出願件数が所長名で検索して805件であること、10名中商標専門弁理士が2名いることを鑑みると、まぁ、産業構造審議会知的財産政策部会 第3回弁理士制度小委員会のこの問題(第5回弁理士制度小委員会のこの問題)を抱えているであろうことは想像に難くないわけです。 弁理士1名に対し、技術職及び事務職2~3名というのが凡その適正ではないかと思いますので、所員数÷弁理士数=4以上だと、上記問題は内在しているのでは!?と思います。
私としては、こういうところの襟をまずは正して欲しいなぁ~と考えているところです。
続いて、企業内弁理士の例から考えてみると、弁理士法では、業務として、
弁理士法4条1項
弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願若しくは国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する異議申立て又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関するその他の事務を行うことを業とする。
4条2項
弁理士は、前項に規定する業務のほか、他人の求めに応じ、次に掲げる事務を行うことを業とすることができる。
各号は略
4条3項
弁理士は、前二項に規定する業務のほか、弁理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは著作物に関する権利若しくは技術上の秘密の売買契約、通常実施権の許諾に関する契約その他の契約の締結の代理若しくは媒介を行い、若しくはこれらに関する相談に応じ、又は外国の行政官庁若しくはこれに準ずる機関に対する特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する権利に関する手続(ん本国内に住所又は居所(法人にあっては、営業所)を有する者が行うものに限る。)に関する資料の作成その他の事務を行うことを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
5条から6条の2も弁理士の業務を規定していますが、裁判所での話しなので、ここでは割愛します。
ということで、そもそも、他人のために代理する職種なわけです。 企業内弁理士の場合、他人のために代理する、すなわち、会社のために代理するということは、ほとんどないでしょうから(それがゆえに、特許庁の面接ガイドラインでも、弁理士資格は求められていないわけです。)、本来の弁理士としての、企業内弁理士の位置づけってどうなんでしょうね?(所属する企業以外のために、弁理士として仕事をしたら、会社の就業規則に違反しそうですし。。。) 法務部員のための資格がないのに(法務部員で弁護士資格取得を目指す人はそれ程多くないと思います)、知財部員が弁理士資格を取るというところの意味づけをよく考えないといけないのかもしれません(知財部員であれば、今は、弁理士試験を受ける人より多くなっているのではないでしょうか?)。 平成20年の弁理士試験志願者における集計を見ると、会社員が約半数ですよ!
なお、2008年9月30日現在7797名の弁理士がいて、日本弁理士会には、会社勤務者(企業勤務者)が、1360名 17.4%所属しているわけです。 ふと思ったのですが、弁理士会は、なぜに会社所属か、事務所所属かと区分けして就業形態の集計をしているのでしょうか? そもそも、必要な集計なのでしょうか?!? 同じ代理人としての観点から見てみると、日弁連では、各弁護士会のどの所属であるのかについては集計しているようですが、事務所なのか、インハウスなのかは集計していないようです(東京弁護士会、第一東京弁護士会等でも、特に、集計を見つけられませんでした。)。
話を戻して、今、勉強をしている人やこれから勉強しようとしている人は、この選挙戦に関する情報をいろいろと集めて、その情報をよくよく咀嚼して、旧態依然とした業界であることを重々承知した上で、この世界に入られることを考えた方がよいでしょうね。 単に、知財ブームだから、あるいは、TOEIC的感覚で、それ程苦労なく得られる(とっつきやすい)資格だからということで、弁理士試験を受験すると痛い目にあうこと必定です! 労多くして実利なしです。 ローにもいえることでしたか。。。
本日のキーワード: コンサル等に業務拡大を図ろうとしている昨今、旧来の弁理士という枠を超えた新たな資格を創設するか、弁理士という名のもつ資格へのイメージが一新された資格とする必要があるのかもしれません。。。 理系の資格No.1といわれている割に、急に騒がれて拡大してしまったのに、(私もですが)弁理士各人の名実が伴っていないのが一番の問題でしょうか!
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