2010年6月10日 (木)

御社の特許戦略がダメな理由

御社の特許戦略がダメな理由 9割の日本企業が、特許を取っても利益に結びついていない 長谷川曉司 中経出版
★特許と事業を結びつけるために必要なのは、研究部門、事業部門、知的財産部門による「三位一体の特許戦略」だ
 
久々に読書感&知財ネタですが、期待していた方向とは異なるものでした。コンサル系のよくある話ですが、大上段は分かる、では、それをどのように実践するの?というところなんですが、この本も、大上段で止まっています。著者から言わせれば、思考プロセスすらできていないということかもしれませんが、今さら出す本でもないように感じます。もう少し、ノウハウというか、企業で培われた実践、ケーススタディを(具体的にどのように実践したのか)厚く書いて欲しかったですね。
私は全く手を出さずじまいになりそうなんですが、弁理士会、周辺業務だぁ~と、知財コンサル等に手を出して、ドツボっているという感じがあります。著作権・不正競争は身を結んでいない感じがありますし。当座を凌げれば由みたいなところで、百年の計がないように感じてしまいます(なんだか、秋葉原のも、多様性が失われている感じがあります。)。セメテ、10年、20年を見据えた業務として、打ち出してほしいものです。そもそも知識や知恵の継続がなく、一匹狼的な要素の強い業界ですから(1人事務所が最も多いですよね。)、長期にわたる考えというものは生まれない(必要がない)業界なのかもしれません(特許1つは20年のお付き合いなので、そんなこっちゃいかんのですが。。。老舗の事務所の噂として、リストラだぁ、給料削減だぁ、クライアントが引き上げているだぁ、リーマンショック以来良い噂は流れていませんし。会長職も、最近でこそ2年ですが、依然は、総括副会長→会長という流れのチャンチャン職位でしたからねぇ~)。
著者は、特許事務所ではなく、長谷川知財戦略コンサルティングというものを立ち上げておられますが、本書籍からも、一部上場企業をクライアントとしてという体がにじみ出ています。ということで、上述してもいますが正直中身はあまりありませんで、読み物として1時間程度でさーーっと読んでしまうのがよいでしょう。また、二度、三度の読み込みはないかなというところです。ちなみに、この本の想定読者層は、企業の経営陣でしょうね。
 
本書籍は、化学系大企業にいらした方が書かれた本ですので、当然に、事例が化学系の話に終始します。化学系の内容で攻めるなら、守秘義務もあるでしょうが、その企業経験を生かして、もう少し、具体的な内容が欲しかったですね(化学分野の特異性として、実施例重視、実施可能要件違反と常に隣り合わせという現状がありますので。以下に詳述しますが、どのような研究ストラテジーを組むのかといったところが欲しかったなぁ~と)。
 
36頁 「排他力が大きくて強い特許とすることができるのか。これが本書の課題である。」
 
特許戦略会議を開くということにつきるのですが、どのようなマインドで対処すれば排他力を大きくできるのか、どのようすれば具体的に排他的な特許を取れるのか?ここの味噌までも欲しいです。
 
実施例を増やせでは、元も子もないですし、特許実務において、排他性を高めるためには企業研究とは合わない研究をする必要があるわけで、そのあたりの知恵も記載されているとなおよかったと思います。私自信、日々ご相談しつつ悩んでいるのですが、企業研究は、どちらかというと最適化(=研究の先鋭化、より詳細に下位概念化、チャンピオンデータの取得)、広い特許を取るためには、どちらかというと派生化(=研究のダイバーシティ、最適化はある意味度外視してめったらめっぽう作る、同様のデータが出る範囲をより上位概念で見出す、時にはネガティブデータも)だと考えているので、相いれないんですよね。研究者も、功績につながらないのでやりたくないでしょうし、企業も研究費を払いたくない部分ですよね(因みに、その点は、問題点としては取り上げられています。なお、実務でも悩ましい部分ですが、チャンピオンデータを固めればよかろうという思想のもと、時に、そこまで限定しなくても良いのでは?という、原稿をもらうときありますし。)。
特許では、数値限定などに、臨界的意義を求めますけど、企業にとっては臨界的意義なんて正直どっちゃでもいいですよね。特に、選択発明的であればあるだけ、最適化される箇所を見出すことが重要なんであって、臨界点の結果なんてどうでもいいわけです(この姿勢がいかんのでしょうけど。とはいえ、排他性を求めるには、ダイバーシティが必要で、あーーー、やっぱりこのあたりの厚い記述を次の本で期待したい。)。
日本の実務では、発明思想を保護しようという意識が、お国側にないことも一つ問題があるのかもしれません。
 
 
とはいえ、否定的であるだけではなく、この本の中で私も強く共感したのは、日本では特許は独占権ですが、米欧のように排他権として考えようという思想を打ち出しているという点です。であるからして、
 
89頁 「本書は、特許は重要であるから、発明はきちんと出願しなければならないという考え方ではなく、本当に事業に役立つような、すなわち競合他社が入ってこれないような参入障壁を作り上げるには、もっと必要なことがほかにあるのではないか、ということを考え、提案するためのものである。」
 
って、この考え方が浸透していくと、出願が減って、ただでさえ増えまくっている弁理士のおまんまがさらに食いあげることになりそうです。特許は排他権であるという観点から、特許法を大改正するということも必要かもです。
 
227頁 「① 同じ事業分野で、他社の特許出願状況はどうなっているのか ② 他社が類似技術で事業化する可能性がないのか ③ 他社の進出を抑えられるような特許網はできているのか」
 
を特許戦略を考える時の経営者側からの質問として非常に効果的と記載されているのですが、これって、もはや各社取り組んでいることではないんですかね?それとも、経営者が質問をするというところに重きを置いているんでしょうか?経営者マインドからの再徹底のような。まぁ、小泉政権時代から、知財知財といわれてきてはいても、知財部出身者が社長になるということは可能性として少ないでしょうから(知財部出身者はある程度の専門性が必要になってくるのに対し、社長に求められる資質は、異なっていそうですから。。。)、知財に疎い社長さんへの再徹底と。
 
最後に、
 
240頁 「特許戦略を構築するためには、できる限り早い段階で三位一体の議論を行い、競合する第三者は誰であって、どういう特許を取得すれば類似技術を含めた、排他力の強い特許となるかという議論を行う必要がある。」
 
まさに、誰もが分かっているけど、答えのない、言うは易く行うは難しですね。なお、化学以外では、分割出願を多用して、他社の動向にあわせて、イ号が含まれるように第2世代、第3世代と戦略的出願をすることがあると思いますが、化学ではあまり聞きませんよね(また、新規事項の考え方も違いますよね。化学の補正では、明細書の記載どんずばりを通常補正していくと思いますが、機械・電気では、結構大胆な補正しますよね。)。この辺りについても、詳細が記載されていると面白かったのですが。
 
 
本日のキーワード: より詳細かつ具体的なケーススタディーの重要性(MOTではなく、知財MBA!?)

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2009年3月 5日 (木)

こんなにおもしろい弁理士の仕事

こんなにおもしろい弁理士の仕事 奥田百子 中央経済社

 弁理士からすると、つっこみどころ満載な書籍ですが、自粛しておきます。

 なお、特許のことも書かれてはいますが、「特許庁保有取扱分野情報」をみると・・・

 

 便利ツール

 Google Patent Search

 ULTRA PATENT ベータ版

 対訳君(翻訳者の間に使用頻度大だそうです。) ウェブde対訳

 

 iPAQ(PDAとして紹介されています。) スマートフォン、今なら、こっちですかね。

 

 

本日のキーワード: 国際特許出願マニュアル(どうして???)

 

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2009年2月10日 (火)

化学・バイオ特許の出願戦略 その1

改訂2版 化学・バイオ特許の出願戦略 細田芳徳(心の上に一が入る) 経済産業調査会

 改訂3版が既に出版されていますが、改訂2版でお勉強です。 改訂2版発行の、平成18年から実務はそれほど大きくは変わっていないでしょう。

 

 「抽出物を含む組成物」は、天然物と同じなのか?という議論がある。 抽出物は、もともと天然にあったものであり、抽出物を「含む」組成物とすると、天然物に戻ってしまうという考え方である。 しかし、

5頁 「天然物としての微生物は土壌中で土壌と共に存在するのであって、培地上で培養するなど人為的手段を経て培養されている微生物はもはや天然物とはみないというのが、特許における考え方である。生理活性物質の抽出物や精製品等も抽出物、精製品自体は天然には独立して存在しないものであるからもはや天然物ではない。」

 ということから考えると、抽出物は天然物ではなく、人工物なので、人工物を含む組成物は、天然物足りえないということになろう。

 IPDLで、「抽出物を含む」、「抽出物を含有する」+「食品。」で検索してヒットした中から、

特許4090861号

請求項2 焼成栗皮の抽出物を含有することを特徴とする食品。

 で特許されているわけであるが、

 元の請求項は、

請求項2 焼成栗皮のタンニンを含有することを特徴とする食品。

 クレームの範囲が広くなって認められているという中々に珍しいケースかもしれない。

 拒絶理由をみると、焼成栗皮自体は引例となっていない。 ということから、抽出物となった以上、抽出物を含む組成物が、天然物に戻ると考える必要はなさそうな感じである。

 拒絶理由で、

「(なお、栗の調理方法として栗の渋皮煮が周知であり、この食品には、渋皮由来の様々な物質(タンニンも含む)が「含有」されているから、このような食品と
請求項2の発明とは区別できない点にも留意されたい。)」

 とあることから、この場合、抽出物を含む食品は、元の食品に戻っているともいえなくもない。 とはいえ、タンニンという「物質を含む」と、「抽出物を含む」とは若干意味合いも違う気もする。

 途中で、

請求項2 焼成栗皮の抽出物からなることを特徴とする食品。
 

 と補正されているのはご愛敬。

 審判を経過して特許審決となっているものとして、特許4104180号があるので、そのうち参考になるかも。

 

5頁 「クレームしている物が天然物か否か、あるいは天然物を含み得るか否かが問題となった場合には、クレームしている物が天然物ではないことを明らかにする必要がある。この場合、例えば、「単離された○○○」、「精製された○○○」のように表現することで、容易に天然物との区別化が図ることができる。」

 天然物か否か分からないということは、クレームされている物が、天然物と同一である物を意味しているということではないのか? この場合、「単離された」や「精製された」との限定を入れても、物として相違するものにはならないような気がするが。 また、天然物として既に存在していても、単離することにより、発明として認められるわけなので、「単離された」と記載しても、既に天然物とは違うと認められている以上、何らかの効果があるのか? 区別化ということは、新規性の問題だと思うんだが。。。

 広範な範囲をクレームしていて、明確にするために「単離された」を記載することは、まだ理由があるといえる。

 

5頁 「人為的処理を反映する用語として「単離」、「精製」等の用語が使用される。 米国の特許実務では、この点が厳密であり、クレーム表現によっては、「天然の蛋白質」、「天然の遺伝子」をクレームしていると認定されて、米国特許法第101条の法定の主題に該当しないという理由の拒絶理由が出される。」

 単離された○○、単離物といった記載はある意味、プロダクトバイプロセスクレームといえる。 そうすると、天然からの抽出物の場合、プロダクトバイプロセスクレームとすることにより、発明となり、新規性が出てくるというのは不思議な考えともいえる。 抽出物の場合は、組成物なので、物としても相違するというのは、その成分が異なることがあるので、まだ理解できるが、化学物質の場合、微妙である。 とはいえ、化学物質では、構造が明らかにされない以上、そこに存在していても、新規性は喪失しないと考えられると理解している(要確認:アジスロマイシンの判決。)。 ただし、プロダクトバイクレームといえるという前提がなければ、生じない論である。

 なお、米国実務としては、「A gene encoding ・・・」で天然遺伝子をコードしていると指摘された場合には、「A isolated gene encofing ・・・」と補正するとよいようである(5-6頁)。

 

6頁 「下記式により定義される、分子内の原子の空間的配置を有するファーマコフォアで規定された化合物」は、発明の対象足り得ると紹介されているが、審査基準で、特許要件を満たさないことが明確に記載されている(実施可能要件違反、明確性違反)。

 

7頁 塩基配列は特許にならないはずであるが、

特許2549504号では、

 ・・・を特徴とするDNA塩基配列。

特許2799735号では、

 ・・・ポリペプチドをコードする塩基配列。

として、特許されている(登録年代が古いからであろう。)。

 通常、

請求項1 以下の塩基配列からなるDNA。

        ・・・をコードする塩基配列。

といった記載が多い。

 

 

つづく

 

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2008年9月15日 (月)

初心者のための特許出願完全・最短理解の手引き

初心者のための特許出願完全・最短理解の手引き 葛西泰二(字がないのでIPDLでの記載に合わせています。 なお、カサイではなく、カッサイと呼ぶようです。)

 こういう本を読むときの鉄則。 独立している弁理士なら、IPDLで代理人検索をするに限ります。 また、事務所のHPを確認するのもよいでしょう。 平成20年9月15日検索で、2000年発行の公報から333件ヒットします。 出願件数が伸びているようですので、単純に平均をとるのはよろしくないですが、1つの指標ということで、333÷8.5、年間40件くらい出願されている弁理士先生ということが分かります。 平成11年に独立されていますので、1年半後の公開ということを考えると、独立当初から出願を行っている弁理士さんであることもわかります。

 なお、再公表特許(PCT出願)、公表特許(外国PCTの国内移行)が発行されていないことから、また、さすがにパリルートだけということはないでしょうから、外国関係は一切やっていないといえる弁理士先生ということがわかります。

 

24頁 「ちなみに近年の特許の世界では、特許権者に有利な傾向(プロパテント傾向)は年々強まる一方で、権利の侵害が認められた場合の損害決着額が高騰しています。」

 これは本当でしょうか。 侵害訴訟の場では、104条の3(特許無効の抗弁)で特許権者側が負けるケースが増えていると思いますので、アンチパテントではないのでしょうか? 特許権者側が勝訴する場合には、和解も多いでしょうから、判決が出ているかだけでは判断はつかないと思いますが、私の理解ではどちらかというとアンチパテントです。

 

 弁理士としてお勉強になった箇所として、

71頁 「オンライン出願の場合の手数料納付方法 印紙が貼れませんから、予納制度となります。」

 紙で出願すると今は、電子化手数料がかかりますので、コスト削減の観点から、オンラインで出願する必要がありますね。 そうすると、予納が必要ということになると。 代理人として独立するには、請求書を立ててお金を払ってもらうまでは持ちこたえなければなりませんから、予納する分として先立つものが必要ということになりますね。 予納台帳番号等をゲットするための手続きも必要ということに。

81頁 オンライン出願を希望する場合には、3つの届出が必要なようです。 識別番号付与請求書、電子出願プログラムCD-ROM交付請求書、電子情報処理組織使用届

 って、調べてみると、どうも上記はISDN回線を利用した出願の場合なような気がしますが・・・ また、上記71頁にあるように絶対に予納でなければいかんということではなさそうな気がします。 納付書交付請求書によれば、現金納付を利用できることが記載されていますね

 

 疑問が残ったところとして、

72頁 「記号の▲と▼は使用できません。 また、【】も項目名に使用する決まりになっていますので、それ以外の個所への使用は禁じられています。」

 ▲文字▼とすると、▲▼にはさまれた部分が意味あるものとなるので、使用できないということでしょうか。 旧字を、特許庁の出願ソフトで認められている字に当てはめるときに使いますから、まったく使えないということではないと思いますが。。。 

 

 

本日のキーワード: インターネット出願

 

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2008年6月18日 (水)

日米特許戦争の狭間で

日米特許戦争の狭間で 米国特許弁護士・パートナーへの3000日 服部健一 The Japan Times

 1994年に初版が出ているので古い本ですが、読んでみました。 自己アピールの強いお方です。 アメリカナイズされたのか、元々、押しが強いから、米国でパートナーになれたのか。。。 特許庁審査官→米国弁護士です。 この流れは、我々の業界だと、思いつく人がいますね! 米国特許に関する入門書を書いておられる木梨貞男氏です。 同じ事務所に所属しているようです。

169頁 「普通の人の数倍は働く私をみて・・・」

 全編に渡ってこんな感じです。

 

38頁 「アメリカの法律事務所ではアソシエート(法律事務所の構成員である弁護士や弁理士)は徹底的に働かされ、稼がされる。 彼らの稼ぎの60%はオフィスに献上され、パートナー(法律事務所を経営する)の収入につながっていくからだ。」

 日本と同じなんですね。 日本の特許事務所でも売り上げの3分の1が、アソシエイトの取り分といいますもんね。

39頁 「また、日本の制度(特許を含む)がアメリカの制度と根本的に異なる点は、日本の制度は国が生き残ること(survival)を目的にしていることだ。 古くは中国を範とし、新しくは欧米を相手とし、無資源の島国としては、個ではなく、全体が生きることを目的とした制度でなくては生き残っていけない。 特許制度も独占権よりも産業の調和を第一の目的としている。」

40頁 「日本の特許制度が遅れても問題がないのは、独占権として利用するシステムというより、研究者哲蒙のために教育的なものを基本目的としているからだ。 したがって出願も白衣の研究者のみならず、現場の技術者までが行う。」

40頁 「さらに問題となるのは、日本の特許庁と米国特許庁との性格の差である。 日本の社会は原則的に官庁中心であり、審査官のポストは官僚というエリートである。 ・・・ 優秀な学生は、軍かサービス産業へ行き、あまり成績が良くない者が仕方がなしに米国特許庁などの役所へ行くことが多い。 ・・・ そして、アメリカでは特許の本当の真価を争う場所は裁判所である。 すべての制度の根本は裁判にあり、訴訟が基本となっている。 日本の場合は官庁(行政庁)が主体となり、全体の調和を図りむしろ訴訟回避型である。」

 著者の書いているこの状況って今でも脈々と流れていそうです。 このあたりの制度の理解なくして、特許庁の審査官の対応(拒絶することが仕事)というものは理解できないかもしれません。

 

 途中、氏の発行する米国の特許情勢に関するレポートを読まないものは知財業界にいないといった文章があったのですが(どこだったかは失念)、どんなレポートだったのか気になるところです。 今も発行されているのでしょうか・・・

 

 

本日のキーワード: 日米特許最前線

 

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2008年4月30日 (水)

そのブログ!「法律違反」です

そのブログ!「法律違反」です 知らなかったではすまない 知的財産権のルール 前岨博 早坂昌彦 石塚秀俊 ソフトバンク新書

 久々、知財本です。 一般書籍の分類でもよいかもという読後感なのですが。。。

 正直、新書としても内容が物足りないような気がします。 30分くらいでザクッと読めてしまいます。 今ハヤリ(?!)のフォトリーディングを使わずに逐語読してです。 ターゲットは、全くもって知財を知らない人ってところでしょうか。 知財に携わるものとして、ブログの法律違反については敏感でなければならないので読んでみたんですが・・・ ブログネタはあまり続きません・・・ 中小企業における顧問のような知財コンサルの仕事をしているのでは?というような著者の職責が偲ばれる内容です。 

22-23頁 アニメのキャラクターは著作物ではないというのは、認識しているのですが、理解ができていないのです。

 「アニメという著作物の画面をまねて、そこに登場するキャラクターの絵を描く行為が、著作物の複製行為といい得る、というのが判例の考え方です。」

 というところがよくわからんのですよねぇ~ やっぱし、最高裁判例をまじめに読んでみないといけません。 「複製」というところでひっかかってしまいます。

85-88頁 写るんです事件、インクタンク事件に触れられているのですが、いくら新書とはいえ、ザクッと書きすぎなきがします。 「流通に置かれた使い捨てカメラの特許権はいったん消尽したものの、使い切って効用を終えたことで再び特許権の効力が認められることとなり、少しおかしな感じもしますが、判例はこのように判断しました。」と記載されているのですが(88頁)、、、 判例の内容はモハヤうろ覚えなので、なんなんですがちょっと違うのでは?と思いました。 写るんです事件では、本質的部分の破壊、再構成があったので消尽したままとは認められないと判示されたのではなかったでしたっけね。。。 まぁ、ここまで書くとちょっと専門的すぎますし、分かりにくいですから上記流れでもいいのかもしれないんですが。。。 とはいえ、???な部分でした。

92頁 「ゲーム画面の画像は、ゲーム機そのものの制御や設定を行う操作のための画面ではなく、あくまでもゲーム内でゲームを展開したりキャラクターを操作するためのものなので、意匠法で保護の対象「画像」ではありません。 「画像」として認められるものとしては、例えば、デジタルカメラや携帯電話機、カーナビ等の画面で、機器の操作に用いられる画像などにとどまります。」

 意匠から離れているので、忘れていましたが、、、 平成18年改正にはほぼついていけなくなっていて、Windowsの画面は保護されないんでしたっけね? Macはどうなんだということころもありますが。。。

99-102頁 「他人のブログに掲載されていた発明を特許出願してもよいか?」 

 自社の発明の改良発明がブログに掲示されていてそれをそのまま特許出願することを企図している状況として記載されていると思うのですが、、、 先使用権から先願主義の流れで説明されています。 しかも、「第三者がこのブログに掲載されていた発明に価値を見出し、その発明を「いただいて(特許権を取得して)」ビジネス活動を行うことは、法律上は問題はないと思われます。」

 「同じ発明をした人が二人いた場合」は確かに先願主義ですが。。。 本当に、法律上は問題ないんですかね? 発明者は誰にするんでしょうか?? 字面だけを追うと冒認出願に該当するような気がしますが・・・

 受験時とその後の理解でかわったのが、

1.甲: 学会で発表

2.乙: 学会発表を見て特許出願A

3.甲: 30条適用して特許出願B

4. 特許出願Aの公開

 の場合に、甲は特許出願Aについて特許を受けることができるか?という問題です。 受験時には、特許出願Bは、特許出願Aの公開により29条の2の規定が適用されて特許を受けることができないと理解していたのですが、、、 その後、変わった理解としては、事例の実体を考慮すると(実際の審査とは違いますよ!)、特許出願Aと特許出願Bとでは、発明者が甲で同一なので、29条の2の適用はなく特許を受けることができるというものでした。 ということで、上記著作における事例でも、発明者はブロガーですので、やっぱり冒認出願ですよね(法律的に問題あり。)。

130頁 「将来的には、アジア太平洋経済協力会議(APEC)域内等において、各国の特許審査結果を相互利用できるようになる可能性もあります。」

 審査結果の相互利用と、審査結果の相互認証とは意味合いが違いますね。 相互利用は今でもなされているのではないですかね? 翻訳の観点から、JPO→USPTOが問題ですかね! なお、JPOとUSPTOは、相互利用の一環として特許審査ハイウェイを行ってますよね。

135頁 「2004年7月、特許庁が、特許電子図書館の特許・実用新案の公開公報へのアクセス状況を調査したところ、アクセス件数の上位10社は日本企業ではなく、韓国、台湾、中国企業であるというショッキングな事実が明らかになりました。」

 これまことしやかに言われていましたが、本当だったんですね。 データを探してみたのですが、見つかりませんでした。 元データを見たいものです。

157ー158頁 「独特の形状や動きに技術的な特色もあり、」な製品に対し、「某大手企業が、我が社の器具と見間違える製品を自社製品として展示している」という状況で、「自社製品の独自技術について、特許権を保有しているかどうかが問題となります。」だけの説明です。

 独特の形状などにも特徴があるのですから、意匠権や不正競争への言及も欲しいところです。

 

 

本日のキーワード: 弁理士の監修を入れたほうが良かったのでは?(笑)

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2007年8月20日 (月)

知財立国

知財立国 日本再生の切り札 100の提言

荒井寿光+知的財産国家戦略フォーラム B&Tブックス 日刊工業新聞社

 2002年発行の書籍ですので、内容的には古いですが、5年たってどういう風に変わってきたのか勝手に検証するとともに、今の知財ブームの渦中にいる人間として、いま一度原点を振り返ってみたいと思います。

37頁 「当時の特許庁の基本方針は「特許は質が重要」だからと、慎重審理の上、権利範囲はできるだけ狭くして特許するというものだった。」

 2010年の仮想世界を描いた一場面中、2000年の話として出ています。 ということは、より特許要件の判断が厳しくなっていると言われている昨今ですから、今の審査実務はより権利範囲が狭いんでしょうね。 しかし、それで、特許法の法目的を達成できるんでしょうか。 一歩下がって他人に迷惑をかけないという日本人の美徳が、特許法では出すぎている気もしますね。

40頁 2005年までの具体的行動計画(アクション・プラン)を含めた知的財産戦略大綱に基づいた改革として記載されている、「従業員発明の廃止」、「知財ロースクール」、「模造品の輸入防止機関」という政策は取られていないような気がします。 これもまた、この本での仮想世界での話しなんですが、従業員発明の廃止ってことは、職務発明制度の廃止ってことと同義ですよね。。。 凄いことを考えています。

56頁 「エイズの治療薬について、インドの会社が製造した特許侵害薬を、エイズ患者を多数抱える南アフリカ政府が人道的な立場から輸入することになり、国際機関を巻き込んだ大問題となった。 しかし、これがエイズ治療薬だけの議論にとどまる理由はなく、がん治療薬でも、心臓病の治療薬でも同じことが起こりうる。」

 これは事実となりましたね。 一定の範囲では、TRIPS協定で認められていますので本来問題はないはずなんですが、心臓病の薬とかについては、タイで強制実施権が発動されるとかでニュースになっていたかと思います。 インドでは、ノバルティスのグリーベックに関連した特許が無効という判断がされたかと思います。

 特許庁HPのインド特許法の仮訳を見ますと、

3条 発明でないもの

 次に掲げるものは、本法の趣旨に該当する発明とはしない。

(d)既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見であって当該物質の既知の効能の増大にならないもの、又は既知の物質の新規特性若しくは新規用途の単なる発見、既知の方法、機械、若しくは装置の単なる用途の単なる発見。 ただし、かかる既知の方法が新規な製品を作り出すことになるか、又は少なくとも1の新規な反応物を使用する場合は、この限りでない。

説明--本号の適用上、既知物質の塩、エステル、エーテル、多形体、代謝物質、純形態、粒径、異性体、異性体混合物、錯体、配合物、及び他の誘導体は、それらが効能に関する特性上実質的に異ならない限り、同一物質とみなす。

(e)物質の成分の諸性質についての集合という結果となるに過ぎない場合によって得られる物質、又は当該物質を製造する方法

(i)人の内科的、外科的、治療的、予防的、診断的、療法的若しくはその他の処置方法、又は動物の類似の処置方法であって、それら動物を疾病から自由にし又はそれらの経済的価値若しくはそれえらの製品の経済的価値を増進させるもの

 ということで、インドでは周辺化合物では特許が取れないわけですし、また、用途発明をもダメなんですね。 用途発明に関しては米国的であるわけですが、治療方法でも特許が取れませんので、医薬発明については、化合物1回こっきりってとこでしょうか。 製剤も(e)に含まれてしまい、特許がとれないのかもしれません。

63頁 「この十年くらいの間に、企業価値の多くの部分が有形資産から無形資産へとシフトしている。」

 製造業の市場価値は、無形資産で判断できるのでしょうが、前にもブログ上で書いた気がしますが、有形資産になれた融資する側が無形資産を有形化しようとしているというのが現在の流れといえるかと。 そこで、重要になってくるのが、

64頁 「企業の知的財産権戦略のインフラとなるのが、技術移転・知財流通、知財コンサルティング、知財ファイナンスといった知財ビジネスである。 中でも重要なのが知財評価である。」

 ということなんでしょう。 土地の価値だって本来は無形だと思いますが、土地とか有形のものは物件として、所有権の移転が容易なのに対し、特許権の場合は、事業の移転が容易ではないので、より判断が難しくなるのでしょうね。 より、M&Aとかが盛んになって事業の流動化が進めば、知財価値判断も容易になる時代が来るかもしれないなぁと思います。 有価証券だって、目に見えない企業価値を判断しているわけですが、誰も難しいといわず、普通に取引されてますからね。 ブランドについてもある程度は取引の対象になっているわけですから、後は事業化されていない特許の価値判断ですね。

66頁 「特許にするかどうかの結論を先に延ばす審査請求制度や先行技術を隠して登録されるような特許があることは、時代に合わない。」

 とあるけど、特に後者は、激しく同意できる部分ではないかと思います。 特許法36条4項2号とかが規定されたりしましたが、まだまだ本質は明かさないというのが日本の特許法実務ではないかと思います。 かといって、アメリカみたくIDSさえしとけば、実施例がなくても特許権が発生するというのもいかがかなぁとは思います。 しかも、先行技術の全てが本明細書中に援用されるってよく使われてますが、そんなに読んでられませんよね。 私は、それを読んだ瞬間に、この特許は実施してないんだなぁ~と思ってしまいます。 大体、援用するって書かれてるところは、まるっきりやっていないか、全然本願と関係なかったりしますよね。

 

 ここからは、100の提言に関する部分についてですが、

94頁 「12 学内発表しても特許の新規性が失われないようにする

米国では、研究者本人による発表ではこうしたことにはならない。 日本でも、発明者自身の発表で不利益を被ることがないようにする。」

 とあります。 確かに、米国では仮出願の制度もありますし、グレース・ピリオドも1年と長いと思いますが、一方の欧州では認められていません。 たまに、新規性喪失した案件をPCT出願する大学とかがありますが、あまり意味ないですよね。。。 また、米国が長いグレース・ピリオドの期間を設けられるのも、先発明主義を採用していることが一因でもあるのではないでしょうかね。 法の不知があるかもしれないので、研究者に過酷というのも30条制定の趣旨だったかと理解していますが、これだけ特許法というものが公知になり、大学の講義でも知財法の講義が設けられている昨今のようですから、30条廃止論というのもあってもいいのかもしれません。

106頁 「20 ポスドク一万人計画を知財戦略に活用する

・・・、先端技術の専門家として特許庁や裁判所で、審査官・審判官・調査官として採用し、知財ビジネスを支える専門性の高い知財人材として活躍してもらう。」

 とありますが、一部、審査官に任期付審査官ということで採用されていますよね。 しかし、審判官や調査官とは、また行き過ぎな気がします。 発明者は兎角自分の発明を実施例ベースで考える癖があると思います。 しかし、特許法上の発明というのは、実施例を思想に置き換えて概念化されたものとなります。 ここの発明の見方って結構、慣れるまでは大変ですよね。 

129頁 「47 データの裏づけのある特許出願をする

米国では、特許出願の明細書に一つでも虚偽があれば、訴訟の際に虚偽の記載が厳しい証拠開示手続の中で露呈し、権利そのものが成立しなくなる。 日本において、アイデアの段階で出願される場合には、推測を元にし、データの裏づけのないものも含まれているとされる。」

 とありますが、アメリカも似たようなものですよね。 どこが本願の発明なのか分からない明細書がいいのかというと・・・ですよね。 確かに、IDSがあるので、従来技術の開示はされすぎているくらいだと思いますが、アメリカでも「will」で書かれている実施例なんてザラにありますよね。 とはいえ、確かに日本では書きすぎたからといって損になることはないので、書き得感は否定しませんし、弁理士が勢いよく発明を作ることも否定できないと思いますが。。。

132頁 「51 特許取得を支援する審査に移行する

これまで、特許庁は特許としない理由の発見に力を入れ、結果として、特許取得を遅く、弱く、狭くしていた。 これからは、有益な発明を特許とするため、特許取得を支援する審査へと発想を転換する。 発明の内容をいちばん理解している発明者・出願人からの技術説明を最優先し、権利化へのアドバイスのため、補正の示唆や出願人との面接などをさらに積極的に行なう。」

 っていいですねぇ。。。 私は、日本人の気質からして、拒絶理由が限定列挙され、それをクリアーしたら特許になるという法体系では、提言51の目指す世界は遠いのかなぁ~と思っています。 審査官といえども官僚ですから、自分の失敗を公にはされたくないと思います。 基本的に官僚に失敗は許されませんよね。 そんな中、拒絶の理由を発見しないから特許査定するという現行法規下では、無効審判などが起きて無効が確定した時には、拒絶の理由を発見できなかった審査官とレッテルを貼られているのと同じになるのではないかと思います。 かといって、審査待ち案件80万件とかっていわれている今の時代にゆっくり審査できるほどの状況でもないですしね。 となれば、審査待ち件数が減らない限り、狭い権利範囲というものはどうしても仕方ない気がします。

132-133頁 「「拒絶理由(特許としない理由)」の発見サービスから「特許取得を支援する審査」への転換である。 今までは、特許としない理由の発見に力を入れてきたが、この考え方の根底にあったのは、特許は独占を認めるので世の中に迷惑をかけるという「アンチパテント」的な考え方である。」

 審査官が霞ヶ関官僚なのが1つの一因でもあると思うので、、、 とはいえ、巷で話題になったように特許審査の民間解放というのもいかがなものかと思います。 霞ヶ関官僚とは異なる独自の官僚システムを作りあげるのが一番なのかもしれませんね。 もうちょっと、公務員なNTTやJRでしょうか。 すると、独法化ですかね。。。

135-136頁 「54 特許庁の電子図書館のサービスを向上させる」

 これは随分と改善されたンじゃないかと思います。 後は、PCT出願されたものが閲覧しやすくなってくるといいですよね。 日本経由のものでも、PCT出願され国際公開されたものは、WIPO経由で公開という観点があるのかもしれませんが、日本の特許庁からは閲覧するのが不便です。 また、テキスト検索も明細書等の全文に渡ってできるわけではないので、その辺も改善されるといいなぁとおもいます。 ちょっと前までは、確かに、

「ところで、電子図書館の特許公報の明細書のデータは、出願人が高額な使用料を負担して「電子出願」に協力したから集積できたものであるから、特定業者に占有させないで、ユーザーに対するサービスを向上させる。」

 でしたからね。

136頁 「56 特許は出願されたら、すぐに審査する」

137頁 「特許は出願と同時に潜在的な独占権を持つので、審査は遅い方がよいというのは「権利の濫用」であり、新規産業の立ち上げを邪魔している。 ベンチャー企業や個人にとって、審査が遅延している現状は、無数の地雷が埋め込まれているようなものであり日本での企業を困難にしている大きな要因である。 遅い審査は、企業の芽を摘み、国富を大きく減少させている。」

 って、地雷を避けた新規事業を起こすのがベンチャーじゃないんですかね。 私は、日本には、欧米にいるような貴族のような裕福層(すなわち、エンジェル)が育っていないことが問題なのではないかなと思いますが。。。 また、総中流を目指していたんですから、突出せい!というのは土台議論が違いますよね。

141頁 「58 特許庁の未処理滞貨を一掃する」

 って、今、特許庁は「滞貨」とは言わなくなっていると思います。 滞貨って発想は失礼ですよね。 

 広辞苑第五版によれば、

「滞貨 商品などが売れないで倉庫などにたまっているもの。 ストック。 また運べずにたまっている貨物。」

 です。

142頁 「59 審査官に数人の補助者(調査員、検索員)をつける

特許権の経済的価値がより大きくなることから、充実した審査を行うため、先行技術の十分な検索を行なうための人材として審査官の補助者(調査員、検索員)を任期付きで公費採用する。」

 この制度は採用されていないような気がしますね。 審判官の調査員には、元審判官だった方たちが採用されているようですが、審査官にも調査員っているんですかね? 検索員は、審査の外注先IPCCがありますね。

149頁 「65 早期審査・早期審理を改善する」

150頁 「さらに早期審査の手続き書類の作成に、弁理士代を含めて十数万円かかると言う問題が指摘されるほど、個人などのユーザーには負担が大きい。 自分で作成しようとしても、早期審査の書式は特許庁ホームページで掲載されているだけで、十分に周知されているとはいえない。」

 って、早期審査の事情説明書だけで、十数万もいただけないですよね。 早期審査そのものはタダですしね。 と思っていたのですが、日本弁理士会HPのアンケート結果によれば、12万~14万の範囲で報酬をいただいている方が多いんですね。。。 確かに、出願によっては意見書級に重たい案件もありますからね。。。 

161頁 「74 世界特許条約をリードする」

162頁 「世界特許を実現するには、四つのロードマップが考えられる。 第一段階として、互いの特許を事前調査し、サーチ結果を二国間で相互に認め合う。 第二段階では、特許を二国間で認め合う。 第三段階では、日米欧三極間の共通特許にする。 第四段階では、発展途上国を含めた世界特許を目指す(世界で一つの巨大な特許庁を作るのではなく、一定水準以上の特許庁が協力して、相互に特許を認め合う分散型の特許庁連合を作る。)」

 って難しそう。。。 そもそも、特許権ってその国の経済施策そのものですからね。 いきなり、第四段階をやろうとしてWIPOで失敗したので、今は、第三段階を進めようとしている気がします。 物質特許なんかはTRIPSでも認められているように、除外できる状態ですので、第四段階というのは難しいですよね。

162頁 「日本とシンガポールの自由貿易協定(FTA)締結により、日本で特許されたものはシンガポールでも特許となる時代となった。」

 FTAってそんなことも締結できるんですね。 FTAと特許の関係では、上記関係を作ったときには、TRIPS協定の最恵国待遇とかって適用されないのかな?といつも疑問に思っています。 確か、以前米韓で問題になったような気がしますが・・・

183頁 「84 三倍賠償制度を導入する」

184頁 「被害者が実際に被った損害を補填するのが日本の損害賠償法の基本理念であり、実損を超える賠償を命ずる懲罰的賠償はとりえない。 だから、アメリカの裁判所が命じた三倍賠償判決を日本で強制執行することは許されない。-これが日本の最高裁の判例だ(最高裁判所一九九七年七月十一日判決、・・・)。 懲罰は、刑法の仕事であり、民事法の領分ではないという考え方も根強い。 一九九八年の特許法改正に当たって、三倍賠償制度の導入が検討されながら結局見送られた背景には、こうした判例・学説の発想がある。」

特許法102条第1項

 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、・・・

民法709条

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

ですからね。 特許法102条は、民法709条の特則であることは明確なので、特許法100条のように、三倍賠償を認めるなら、特許法に損害賠償の根拠条文を置かないといかんでしょうね。

200頁 「92 知財裁判所を創設する」

200-201頁 「技術的素養を持つ裁判官(特許庁からの裁判所出向経験者を一定の資格試験を経て登用したり、知財専門の弁護士や弁理士を登用)を集めて、合議体として技術内容を判断できる「知的財産裁判所」を、韓国に続き、アジアで二番目に設置する。 知的裁判所の人的構成としては、法的素養を持つ裁判官、技術的素養を持つ裁判官、双方の素養を併有している裁判官、各三分の一とすることを目指す。 ・・・ したがって、特許庁の審判官や「ポスドク」を知財裁判官に起用することが急務である。」

 上記のような知財裁判所というのは創設されませんでしたね。 確か、ロースクール化した際に、知財も含めて、色んなバックグラウンドを有する人を、法曹の世界へというのが1つのキャッチコピーだった気がしますが、、、 知財裁判所だったら、独立機関ですので、理系からロースクール行ったおじさんでも採用されたかもしれませんが、今は知財高裁ですから、そういう方は知財の裁判官にはなれなさそうです。 きっと、高裁の裁判官自体においそれとは慣れないですよね。 地裁でそこそこ経験して、ってなると、裁判官も特別公務員の官僚みたいなもんですから(弁護士も何期生っていうのが一生付いて回るみたいですもんね)、上記理念は達成できないというか、法曹界からの反対も凄かったというのを聞いたこともありますので、ある意味、知財高裁となったというところが、1つの両者痛み分けみたいな裁定だったのかもしれません。 そもそも今まで回してこれてるのに、今更理系が必要だというのは、裁判官の方達に失礼な気がします。

205頁 「?? 知財ロースクールを早期に立ち上げる」

207頁 「知財ロースクール(知財法科大学院)は物理、化学、工学などの理工系学部出身者を学生の大宗とするべきである。 法学部出身者に理工系科目の教育を行なうよりも、逆の方が容易であり、有効と考えられるからである。」

 知財ロースクールって、ないですよね。 確かに、知財を扱っているロースクールはあるでしょうが、専門となるとないですよね。 ただ、理系大学出てとか、博士課程出ただけで、発明が理解できるのかというのは疑問ですよね。 特許法でいう発明は多くは企業で作出されていると思います。 確かに、ベンチャーの素は大学の研究から生まれていますが、やはり多くは企業からですよね。 そもそもベンチャーの発明は原理的な発明だったりしますので、どちらかというと、争いになるものというのは少ないと思います。 争いにすることは多いと思いますが。。。 となると、単に理科系を出たというだけで、発明を理解できんのか!というと、・・・だと思います。 これは、審査官にもいえることだとは思いますが。。。 これだけ、この本では、米国追従が激しいのですから、審査官の資格も米国追従したらいいのに!と思いますが、そういったことは書かれてませんねぇ~。 公務員改革って難しいんですかねぇ。。。

 

 

本日のキーワード: 知財評論家

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2007年7月26日 (木)

キヤノン特許部隊 その2

 つづき

 

107頁 「中身を変えないで文章だけを増やす技術を持っているのです。 文章を長くした分、請求書が高くなるというわけです。」

 この辺は気をつけなくてはいけないところですよね。 明細書や特許請求の範囲も頁加算や、請求項加算なんてぇのがあったりなかったりします。 書こうと思ったらいくらでも増やせるわけで、如何に必要十分に書くかというところがポイントになろうかと思います。 とはいっても、化学の場合、実施例ありきだったりしますので、あまり弁理士の力量は問えない部分も多分にあります。 あの弁理士に頼むと、ちょっと多めに書かれちゃうけど、権利が取り易いんだよなぁ~という風評がどちらにとってもいいのかもしれません。

109頁 「単に立場が上というだけではなく、議論をしていてもどんどんいいアイデアが出てくるのです。 一つのことを徹底的に議論すると、相手の力量が分かります。 彼と仕事の中身を議論していると、こちらの狙いをぱっと感じ取ってくれます。 この感じ方が大事なのです。 とくに交渉のときには、この感性が絶対に欠かせません。相手の気持ちを察知するということが重要だからなのですが、実際にはこの能力を欠いた弁護士が多いのです。」

 どの世界におろうとも重要なことだと思いますが、特に時間の限られた中で仕事をする代理人たるもの常に意識しとく必要がありそうなスキルですので、ちょっと長いですが、引用しました。 弁理士も弁護士ほどではないにしろ、発明者の方や知財部の方と実際にお会いして打ち合わせしたりしますし、当然、審査官とは書面でやり取りもするわけです。 こういう感性みたいのは磨いて磨けるものではないと思いますが、意識しとけば少しは変わってくるかもしれないもんです。 よく、公園に象さんなんかの石の置物みたいのがありますが、子供が上ってズリズリとしている間にテカってたりしますからね。 石でも日々の研鑽で磨けば光る可能性もありってことです。

129頁 「どちらの立場になっても必ず反論の余地はあります。 ですから攻めるときは攻める立場での議論をする。 守るときは守る立場での議論ができるのです。 これをいかに両方の立場でできるようになるか、・・・ いつも両面からものを見ていれば、相手がどう言ってくるかという予測も立ちやすくなります。 どちらの立場に立っても一応主張ができる。 これが特許の仕事の一番大きな特徴だと思います。」

 侵害訴訟によく関与することになると、こういう感覚は必要なのかもしれません。 明細書を漫然と書いているだけでは、こういった感覚を養うことはできませんね。 交渉とは、審査官をどうやって納得させるのかとほとんど同じであると著者は書いていますので、意見書を書くときなんかに意識しておくといいのかもしれませんね。 私は、交渉術といったものはまだいらないと思って、そういった類の研修には全然参加していなかったのですが、ちょっと見方を変えてみることも必要かもしれません。

159頁 「-アメリカのような産学連携は日本ではあまり見られません。」

 アメリカはバイオベンチャーが流行ったこともあって(情報産業の場合、ベンチャーがそのまま雄になることも多いようですが、バイオの世界ではアメリカでも2、3の会社を除いて大手製薬企業に大体買われちゃいます。)、産学連携がバシバシです。 日本では、この前、アステラスと京都大学だったかな?が産学連携を始めますなんてニュースが出てました。 遅きに失した感もありますが、成功してもらいたいもんです。 寄附講座ってぇのはいくらでもあるようなんですけどね。。。 とはいえ、寄附講座ってあまり、ビジネスライクじゃなかったりしますよね。 その寄付講座の教授が元社員だったりしますから・・・ そういえば、昔は、教授-助教授-講師-助手-ポスドク-D-M-卒論ってぇのが、研究室のヒエラルキーだったかと思いますが(たまに、秘書-教授-・・・だったりしますが)、今は、准教授とかいうんですよね。 助手も助教とか言うようになったとか・・・ そういえば、昔は、助手は「さん」付けで、助教授以上が「先生」でしたねぇ。。。 先生つながりでいくと、何で弁理士は「先生」って呼ばれるんですかね? 1年目でも先生なので、申し訳ないないなぁといつも思ってます。

185頁 「・・・、特許庁が有効性を判断するのではなく、訴訟になった場合は、裁判所が有効性の判断を全部行うべきではないでしょうか。 ・・・、現在、実際に特許の有効無効を判断している特許庁の審判部と裁判所が有機的、機能的に結合すればいいのではないかと思います。 さらに先に行けば、特許庁の審判部が全部裁判所の中に入ってしまてもいいのではないかと思います。」

 三権分立の考え方や、行政不服審査法などとの絡みで難しいことと思うのですが、昔はこういった議論がなされてたみたいですね。 今は、知財高裁があるので、こういった議論にはならないのかもしれませんが・・・ とはいえ、法律的には対世効はないとはいえ、侵害裁判所では104条の3ができて無効の判断がばしばしされていて、審決取消訴訟の裁判所と同じなんですから、実質対世効ありまくりですよね。 しかも、青本にあるような、給付判決はできず、形成判決しかできないといっていても、実質給付判決みたいな今の世情の中では、審判部が裁判所の下に入っちゃっている方が、予見性が高まる気もします。 一応、審判官が調査員として裁判所に出向しているので、有機的、機能的に結合しているとはいえるんでしょうかね。

189頁 「間接侵害の条項を追加して、共同して複数の人が行った侵害行為でも、システムそのものが侵害されたと主張できるように手は打たれています。」

 って、この考え方は、従属説的な間接侵害の考え方ですね。 「共同して」とあるので、私は、てっきり共同不法行為のことを書いているのかと思いました。 共同不法行為は、特許法ではまだ結論がでていないんじゃないでしょうか?

 読み進めると出ていました。

189頁 「民法の共同不法行為というのは、損害賠償は取れるけれど、差し止め執行ができないらしいのです。」

 

 

本日のキーワード: 法学者の観点から特許法を眺めてみたいもんです。

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2007年7月25日 (水)

キヤノン特許部隊 その1

キヤノン特許部隊 丸島儀一 光文社新書

 ひさびさ知財系の読書です。 いわずと知れた、キヤノンの元特許部長です。 というか、今、名刺交換して、キヤノンの知財部ですといわれると、この業界では、興味津々話題の中心です。 この前デジカメを見に行って、キヤノンの製品はどうですか?って聞いたところ、キヤノンは好きな人がいますからねぇ~、どうしてもキヤノンじゃなきゃ嫌って人がいるんですよ~って言ってました。。。 ブランド戦略の最たるものですね。

 

32頁 「ブレードというのは印刷インクをかき取るのに使う道具ですが、それにゴムを用い、当てる角度なども工夫して完成させました。 しかしこれはあまりにもシンプルな方法だったため、特許を取るのに苦労しました。 審査官からは、これは自動車のワイパーと同じではないか、チューインガムをかき取るへらと同じではないかといわれたのです。」

 クレームを見てないので何ともいえませんが、機械ものの用途発明としての成立の難しさを物語っているような気がします。 用途発明といえば、化学、それも合金や医薬の専売特許ですね。

 そーいやぁ、専売特許って普段使いますね。 話それますが、調べて見ました。

広辞苑第5版によれば、

「専売特許 発明品などを専売することに対する官許」

 特許とはまた違った考え方ですね。 特許では独占排他権は付与されますが、専売権が付与されるわけではないですからね。 上記定義だと、特許権はなくても、専売特許となることはあるって感じですかね。

33頁 「自社の成果を人に突破されたくないとなると、自社で使う技術だけでなく、その代替技術をも特許で押さえる必要があります。 ・・・ それを未然に防御する意味で、自社の事業に使ってない技術でも事業を守るための特許を出そう、ということです。」

 まさに知財マネジメントですね。 ここまでやれている企業さんてどこまであるんですかね? 機械・電気では(特に、電気)、そもそもちょいちょいと発明ができるようですし、そのできた発明が次々に明細書に表せる発明足りえるとか、この周辺を固めやすいというところが、クロスライセンスの世界へと繋がっていくのかもしれません。 私のいる分野からでは、この辺りの考え方や開発の流れを含めて理解し難い部分だったりします。 そもそも回りが固まるっていうのが難しいような気がします。 まぁ、私のいるところでも、1000や2000の出願をすればいいのでしょうが、その場合、1000の出願となるよりも、1000頁の一出願となりそうです。  とはいえ、弁理士としては、こういった側面からも発明者の方と話ができるといいのではないかな!?と思います。 一弁理士では、中々、企業戦略にまで踏み込めないのも事実ではありますが。。。 休眠特許との切り分けが難しい部分でもありますね。

59頁 「発明の本質的な思想を捉えずに、単にひとつの実施形態を書いただけなのです。」

 と、確かに、機械・電気分野では、発明の本質がなにで、それをどう明細書に表すのか!というのは弁理士として腕の見せ所な気がします。 「○○手段」とかはまさにその好例だと思います。 化学屋の私からすると、あーいうのは機能クレームに見えて仕方ありません。 例えば、「酵素ポケットに認識される手段と酵素のアミノ酸○○と水素結合する手段とを有する化合物A」なんて出願しても、不明確で一蹴されます。 ホント、機能クレームって機械のためにあるんでは?って私には思えて仕方ありません。 確か、審査基準って機械分野のために作られているもんだというのをどこかで聞いた覚えがあります(不確か情報ですが・・・)。

75頁 「-クロスライセンスを結んでいる一方の企業が倒産してしまった場合には、どうなるのでしょうか。 丸島 ・・・、現状では破産法が優先するのです。 ・・・、あるいは会社更生法を適用した場合は、」

 前後関係はどうでもよくって、企業でライセンスの仕事をしていると、会社更生法やら破産法やらもでてくるのですね。 明細書書きの弁理士として仕事しているとこういった法律とは殆ど知り合うことがないです。 特許法だけにしがみついてないで、頑張った上での民法、民訴だけでなく、こういった方面の知識も仕入れていかないといかんですな。この点については、

90頁 「ライセンスの使い方にも気をつけないと独占禁止法にひっかかるケースが出てきます。 自分でライセンスを使うなら構わないのですが、競争相手を攻撃するために人の特許を使うのは、認められないのです。」

 って、米国では他人の特許を買って他人に権利行使するといかんということなんですかね。

 90頁 「日本の場合でも優越的な地位の濫用ということで、無効と判断されるかもしれません。」

 とあります。 専用実施権者がいる場合に、特許権者に差止請求権は残るかという論点があるかと思いますが、上記とはちょいと相反してしまう事例な気がしますね(大前提で専用実施権者は差止請求できますよね。)。  米国の射程も、特許権を買った場合のみってことなんですかね!?!? とはいえ、てっきり、日本では、他人の特許権を買ったとしてもその特許権で差止請求できると理解していましたが、そうでもないんですかね。 損害賠償請求はできるけど、差止請求はできないということなんでしょうかね。 とはいえ、米国は独占禁止法が強い国だとも聞いたことがありますが、米国法も勉強しないといかん部分です。

92頁 「特許法に精通しているとか、技術に精通しているということはもちろん大事なことですが、それよりも企業人ならば、その企業が行っている事業にとってどのように有利な展開ができるか、・・・、そういった発想が大切なのだと思います。」

 って、こういった観点で明細書を書けると、弁理士としても一つの売りになると思います。 確かに、時間に追われている中、ここまで気を回す余裕がない、はたまた、そういったことをする能力が欠けている等々、色々理由はあって万人が着手できていないと思いますので、こういった観点を売りにすれば、独立しても食っていけそうな気がします。 そのためには、非常なクレバーさが求められるとは思いますが、弁理士としての一つのビジネスモデルではありますな。

 

 つづく

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2007年2月 9日 (金)

新・特許戦略ハンドブック ぱーと ろく

 忘れ物

 

第13章 特許工学

545頁 「特許工学とは、高度知的活動である特許ライフサイクルにおける、一見、非定型な活動、および第三者への伝達が十分でないノウハウを定型化する定型化活動、およびその成果物に関するものである。」

とあるけど、特許工学って何? まぁ、造語だろうなぁ・・・ なんでも「工学」ってつければいいというものでもないと思うんだけど・・・ 

552頁 「以上、トップダウンでテーマ設定を行って、複数の発明者のベクトルを合わせることにより特許網を構築すること、および発明の思考を刺激して、アイデアが溢れだすような具体的なテーマを設定することが重要であることを述べた。」

 この筆者は、IT系かな・・・ 松下電器産業にいたみたいだけど、トップダウンの研究ってどんなのでしょう???

 

第14章 ソフトウェア・ビジネスモデルの特許ポートフォリオ形成

618頁 「アマゾンドットコムの1クリック特許」

 「各ユーザーの請求および出荷に関する情報などを記録、リピートユーザーが、1度クリックするだけで購入できるようにする方法に関する特許である。」

 特開平11-161717号、EP 927945号

627頁 「JAL対ANAのビジネスモデル特許事件」

 「企業IDと当該企業に属する個人の個人IDを用意しておき、発券処理には個人IDを用い、請求処理には企業IDを用いるという内容の発明である。」

 特許3400447号

635頁 「医薬品などの化学分野においては、机上の理論だけでは効果を予測できず、実際に実験をしてみないと結果が予測できない。 つまり、技術における予測可能性が低い。 ・・・ さらに、電子回路(・・・)の分野となると、機械分野よりもさらに予測可能性は高くなる。 ソフトウェアになると、バーチャルの世界で実現できないことはないのであるから、理論的な予測可能性はきわめて高くなる。 ・・・ 医薬品などにおいては、予測可能性が低い結果、実験結果を大幅に超えるような権利を取得することは難しい。」

 なるほどねぇ。 審査基準って画一に作られているけど、化学分野、機械分野、電気分野で一律に適用されるってことはないってことになろうなぁ。。。 となると、実務をつんで、おおよその境界線みたいなものを理解しないといけませんわね。

637頁 「アマゾンドットコム社が1クリック特許に基づいてバーンズ・アンド・ノーブル社を訴えた事件では、アマゾンドットコム社の独占戦略に対して反発したユーザーが不買運動を展開した。 ヘルプアイコン特許事件においても、権利者製品の不買運動が起こっている。 ・・・ ユーザーインターフェイスが対象であったため、ユーザーが特許内容を意識しやすく、その過剰の反応を招いたといえるであろう。」

 ということで、購買者が多数いて親しんでいるような製品に対して特許権を行使すると、上記のようなことが起こる場合もある。 キャノンのインクカートリッジ事件では、被告の製品がそれ程売れているわけではないので、消費者が親しんでいるものではないことから、キャノン製品の不買運動が起こったとは聞いていないものね。

640頁 「有効なビジネスモデルが発案されやすいのは、システムエンジニア(SE)部門である。」

641頁 「経営責任者、開発担当者(IT技術者)、弁理士が3つの立場の者が参加したブレーンストーミングを行う。 ・・・ 経営責任者、開発担当者(IT技術者)、弁理士ブレーンストーミングにより、事業性、特許性、実現性を備えた発明をつくり出すことができる。」

 大手企業で、これは難しいだろうなぁ。。。 経営責任者に委譲されているCTOとかでも無理だろうなぁ・・・ 研究開発において企画提案型でない大手企業ってどれくらいあるんでしょうね?

 

 

本日のキーワード: やっぱ、知財を考えるのってIT系のためですかね。

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